ありのままに観るとは?

突然ですがあなたは目の前の物をしっかりと見ていますか?目の前で起きている現実をしっかりと視界に捉えていますか?

 

視力の話をしているのではありません。目の前の現実を「フィルター」を通してではなくありのままに見ていますか?と問いかけです。

 

私たちは目の前の現実をありのままに見ていません。何かの思い込みや知識、その時の感情や気分というフィルターを通して物事を解釈し、自分に都合の良い世界を見ているのです。


例えば、リンゴ。リンゴをありのままに見るとはリンゴに関する知識や体験、イメージや思い込みを全て横に置いて(囚われずに)認識するということです。

 

一度、この本文から目を離して、身の回りにあるものを何でもいいので「ありのままに」見てください。出来ましたか?

 

多分、無理だったのではないかと思います。「出来たかわからない」というのはありのままに見えていませんし、ありのままに見たつもり(見ると考える、思う)も違います。

 

世の中には「ありのまま」という言葉が溢れていますが言葉を知っているから、意味を知っているからといってそれを体現出来るとは限りません。

 

もっと言えば意味を知っているとは、自分勝手な解釈に過ぎない頭の中で繰り広げられる妄想を「意味を知っている」とラベリングしているだけの可能性もあります。

 

マインドフルネスの実践や瞑想はそんな妄想に気づくための方法です。気づいて終わりではなく、気づきはスタートであり囚われから自分を解放するために絶対に必要になります。厳密に言えば、気づきを得た瞬間に囚われから解放されるため気づきはスタートであり全てと捉えることも出来ます。

 

囚われは目の前の世界をありのままに見ることを妨げている一番の原因です。ありのままに見るを実現させるために自分を囚われから解放しなければいけません。もちろんこれは概念ではなく具現化です。


囚われから解放され、目の前の世界を本当にありのままに見ることが出来れば「ありのままに見えた」と体感を通してはっきりと気づきます。ありのままに見ようという意思が働かすのではなく、結果的にありのままに見えたと実感するはずです。

うつ病になる理由。

ここまで読まれて「それがどうした?別にありのままに見えなくても何も困らない」と思った人もいるでしょう。

しかしありのままに見ることが出来ないことは人生において大きなマイナスとなります。なぜなら私たちの心が苦しくなるのは現実世界をありのままに見ず、自分勝手に解釈することが原因だからです。

例えば、多くの人が大嫌いなゴキ〇〇。あなたはどうしてそんなにゴキを嫌うのでしょうか?ゴキが何かあなたに悪さをしましたか?ゴキに襲われて傷つけられましたか?ゴキが家の中に居ることで大きな損害を被りましたか?

そんなことは恐らくないでしょう。ゴキを嫌うのは自分が直接被害を受けたのではなく、誰かが作り上げた嫌悪のイメージや思い込みに囚われているからです。そういったイメージや思い込みを取っ払って(それが究極的に難しいのですが)ゴキを見てみるとそれほど気持ち悪くないことに気づくはずです。

 

少し冷静に考えてみるとゴキ以外にも見た目がグロテスクな生き物はたくさんいます。魚やカニ、エビがそうです。魚は種類によっては可愛らしいのがいますが(これ自体がありのままに見ていない)よく見ると目もフォルムも肌触りも心地よいものではありません。カニやエビもそうでしょう。その見た目や感触は昆虫に近いものです。

 

ゴキを始めとする虫を気持ち悪いと感じる一方、カニやエビを気持ち悪いと思わずにむしろ美味しそうという体感があるのはそういうイメージや価値観を植え付けられたからです。

 

もし子供の頃から当たり前に虫を常食していたら、虫に対して気持ち悪いという感覚が沸くことはありません。家の中で虫を見つけたら「ラッキー」と思うでしょう。

 

言いたいのは「絶対的な基準」はないということです。ゴキなどの虫が気持ち悪いというのは絶対的な基準ではなく、自分勝手な解釈の結果生じる感覚です。それが囚われであり、ありのままに世界を見ていないことでもあります。

 

自分勝手な解釈に支配され囚われをこじらせると、うつ病を発症することがあります。うつ病(その他の精神疾患も)は囚われることで生じるネガティブな思考や感情が膨らみ(それに伴う身体症状)制御出来ない状態が続くことで起こります。

 

うつ病はセロトニンの不足とか、偏桃体が過剰に働くとか、前頭葉が上手く働いていないことが原因と言う人もいますが、それは原因ではなく結果であり後付けに過ぎません。ですから薬などでセロトニンを増やしたり、偏桃体の働きを弱めたりしても一時的に良くなったように見えるだけで(寛解と呼ぶ)根本的な解決にはならないのです。

 

原因と結果をはき違えることが現代医学の問題点なのですが(意図的にやってる場合が多い)うつ病を根本的に改善するのであれば、原因と結果をしっかりと理解しそれに対する的確なアプローチをしなければいけません。それが囚われからの解放を促すことであり、ありのままに見るための訓練(マインドフルネス)です。

 

うつ病だけでなく、不安障害も適応障害(これらは同じ疾患を違う病名で呼んでいる)やその他の精神疾患も同じです。

 

認知行動療法もうつ病の改善や再発に効果的と言われていますが、認知行動療法も囚われから解放することを様々なワークを用いて促すからです。

ありのままに「観る」方法

現実世界をありのままに見る方法は言葉で言えば単純です。目の前のことを「丁寧」に見る。何か対象物を決めてゆっくり細部まで「丁寧」に見てください。そうすると囚われから解放されていろいろなことに気づくはずです。

 

実践するといつも見ている物がまるで初めて見る物のように感じられ、新鮮で新しい発見がいくつかも見つかるでしょう。これもマインドフルネスの実践の一つです。ありのままに見るとはマインドフルに見るということ。正確には「見る」ではなく「観る」ですね。

 

まずは頭の中に生じる思考や感情、気分といった自分の状態を客観的に見ていきましょう。そしてそれを手放し、対象物に意識を向けます。対象物に意識を向けている中で新たな思考が生じたり、感情が浮かび上がることもありますが、それにも囚われずに何度も手放しましょう。

 

それを繰り返すことが「丁寧」に見ることにつながり、結果的にありのままに観る状態が作られるのです。「見る」から「観る」へ昇華するとたくさんの「小さな幸せ」に気づくはずです。仏教ではこれを「悟り」と呼ぶそうです。