お金の囚われを手放す方法

お金は私たちが生活する上で非常に大切であり、様々な価値と交換してくれる道具です。現代はその価値がより高まっているため、私たちはお金を必要以上に欲しがり、お金を何よりも最優先に置き、その結果お金で苦しめられているのです。

 

これまで何百人の心の悩みや相談を聞いてきましたが、その悩みの多くの根本原因はお金の囚われや執着から生じています。不安やイライラ、恐怖や怒り、仕事や人間関係の悩みのほとんどがお金に対する考え方や捉え方から来るものです。

 

10年近く前に「うつ病を発症し職場復帰出来ない。マインドフルネスがうつ病の改善に良いと本で読んだのでマインドフルネスを教えて欲しい」という人がいました。この方は職場での人間関係が原因で精神的なストレスが増大し休職する状態に追い込まれたのです。

 

話しを1時間ほど聴いたところ、今務めている仕事がこの方に向いていないことがわかりました。それだけではなく人間関係以前に仕事内容が苦痛で嫌々仕事をしていることもわかりました。

 

そこで私は「仕事を辞めるのも一つの選択肢ですよ。マインドフルネスに取り組んで心を変えるよりも仕事を辞める方が効果的に感じましたがどうでしょうか?」と提案しました。

 

たしかにマインドフルネスの実践や瞑想に取り組めば、目の前の事象の捉え方が変わるので嫌な職場や嫌な人間に対する考え方や感じ方は変わり、精神的ストレスは減少するでしょう。上手く取り組めば、うつ病を改善して職場復帰も十分に可能です。

 

しかしこの方の状態や意欲(マインドフルネスを実践するための)を考えるとかなりの時間と努力を要することが想像出来ます。

 

それならば、身体に反応が出るくらい嫌な仕事を辞めた方が効果的なのでは?と思い転職を提案したのです。もちろんどのように判断するかについて、対話を重ねました。その結果、この方は仕事を辞めずにマインドフルネスの瞑想や実践に取り組み、心を変えて職場復帰するという判断を下しました。

 

その理由を尋ねたところ、「仕事や人間関係は嫌だけど、転職すると確実に収入が減るのでそれだけは嫌です」と答えてくれました。それについても対話をした結果、この方はお金の囚われや執着が強いことがはっきりとわかりました。

 

そこで私はマインドフルネスの実践や瞑想の指導をすると同時に、お金の囚われや執着を小さくする方法もこの方に実践してもらいました。それをマインドフルネスと合わせて数か月続けたところ、この方はお金の囚われや執着が小さくなりその結果、仕事を辞める決断をしました。

 

「お金がないと不安で仕方がなく、収入が良いことでの優越感も持っていましたが、この数か月でそれがなくなり収入の多寡ではなく自分を生かせる仕事をしようと思いました」と大きく変わりうつ病の症状は消えました。

 

この方はマインドフルネスに真面目に取り組んだので、幸いなことにわずか数か月で苦しみの原因に気づき、苦しみを手放すことが出来ました。しかし最初からお金の囚われや執着が小さければ、そもそも仕事が原因でのうつ病を発症していなかったはずです。

 

仕事のやりがいや世の中の役に立つかどうか、自分がやりたい仕事かどうかではなく収入(お金)を最優先に置いた考えが招いた心の苦しみでした。

 

このケースは特別ではありません。多くの人が陥っている状態です。たまたまうつ病など身体に出る反応が小さいだけで、精神的ストレスを常に抱えながらなんとか自分を誤魔化して、毎朝嫌な気持ちで職場に向かっているでしょう。

 

日本は職業選択の自由が認められています。嫌な仕事を続ける義務はありません。精神的ストレスが蓄積しないレベルの嫌なことであれば、その場だけ我慢してやり過ごすことも可能ですが、「明日も仕事か。行くの嫌だな。」と自然に頭に浮かぶ(これはかなりストレスが強い)くらいであれば転職した方が良いのです。冷静に考えれば簡単に解決可能です。

 

しかし多くの人は転職するという選択を選びません。精神的にも肉体的にもボロボロになるまで嫌な仕事を続けるのです。その理由はお金(収入)です。見栄とか仕事は辞めてはいけないという信念、精神修行という理由から嫌な仕事を続ける人もいますが、それは少数で辞めない(辞めれない)のはお金が理由です。

 

大企業に勤める人(それなりの収入がある)や公務員(高収入ではないが安定している)の人ほど仕事が嫌で仕方がなくても辞める(辞めれない)選択を選びません。無理やり自分を奮い立たせて、薬を飲みながらでも仕事を続けます。先ほど紹介した方も誰もが知る世界的大手企業で務めていました。

 

大家族を養わないといけない、多額の借金を返さないといけないなどお金がたくさん必要な理由があれば、高収入だけどストレスだらけの仕事を続ける理由もわかりますが、特別お金が必要ではない人が嫌な仕事を続ける理由はなんでしょうか?

 

ここを掘り下げていくことが、現代人の悩みや苦しみを解決するヒントになります。

仕事を辞めると食えなくなる

お金の囚われや執着が強くなる理由の一つに、「お金がないと食えなくなる」という価値観があります。実はこの価値観は生存本能から来るものです。

 

ご飯を食べないといずれ栄養失調で死んでしまいます。それを防ぐために、人間の3大欲求と言われている「食欲」「性欲」「睡眠欲」のうち食欲が最も強く生じるように本能が設定しました。

 

性行為は一切行わなくても生存には関係ありません。大きな枠で見ると性行為を行わないと種が滅びるということが考えられるのですが、個人レベルにおいては特に問題はないのです。

 

睡眠欲もそうです。睡眠は取ろうとしなくても問題はありません。なぜなら睡眠は必要になれば嫌でも寝てしまうからです。睡眠は欲というよりは自動的に発動する機能です。

 

食欲はこの二つとはまったく異なります。食べる行為を辞めてしまえば死にます。(インドなどで一切食べなくても何十年生きる人がいますが、そういった例外はここでは置いておく)その人がどれだけエネルギー(体脂肪)を蓄積しているかによりますが、まったく食べなければ二か月も持ちません。また食べないことによる栄養の不足は病気や不調を確実に招きます。(短期間の断食は逆に健康になる)

 

食べるという行為(食欲)は私たちにとって何よりも優先すべき大切なことなのです。そして現代では「食べる=お金(それと同等の価値)が必要」という図式になっています。ですから現代に生きる私たちがお金を欲しがるのは本能から来るものでもあるのです。

 

問題なのはそれがこじれることで生じる「もっとお金が欲しい」という欲望です。お腹を満たすだけでは満足せずに「〇〇産でなければ嫌だ」「希少部位が食べたい」「このブランドじゃないとダメ」と欲望がエスカレートします。その結果「もっとお金を稼がなければいけない」とお金の囚われや執着が強くなってしまうのです。

 

「〇〇を食べている私はイケてる」「〇〇を食べることが出来ない人達に優越感を感じる」といった欲

も生まれます。お金を稼ぐことが出来る人はその欲を満たすことが出来ますが、多くの人はそう簡単にお金を稼ぐことは出来ず(必要ではないから)に不満が溜まります。「お金がないと食えなくなる」という価値観がこじれた結果、余計な悩みや苦しみが生じてしまうのです。

承認欲求がこじれる

現代に生きる私たちは人類の歴史上、最も承認欲求が強いのではないでしょうか?自分を認めて欲しい、自分を理解して欲しいという気持ちが強いのではないでしょうか?SNSやYouTubeを観ているとそのような印象を持ちます。

 

誰もが承認を求めて日々の生活の内容や主張を投稿し、「いいね」や「フォロワー」の数に一喜一憂しています。最近の子供に「欲しいものは何?」と聞くとゲームやおもちゃではなく「いいね」や「フォロワー」と答えるそうです。

 

承認欲求は人間に元々備わった本能ですが、昔は承認欲求が必要以上に大きくなることはありませんでした。権力者や有名人は多くの人からの承認を求めていましたが(それが権力の維持や収入につながるから)、大多数の一般人はせいぜい身内や友人、小さいコミュニティー(職場やサークルなど)の人達から承認されれば良かったわけです。

 

しかしSNSやネットが発達しまくった現代は違います。誰もが世界中に自分の主張を発信できるようになった結果、承認欲求の肥大化が起こりました。承認されているかどうかの基準は「いいね」や「フォロワー」の数です。その数がお金に結び付くこと(承認欲求をこじれさせる原因)がさらに拍車をかけています。

 

そのため「いいね」や「フォロワー」の数を得ようと、手段を選ばない人も増えています。犯罪スレスレのことを動画で投稿したり、主張を過激に盛って投稿したり、アプリで自分の顔を整えて投稿したり、ヌードを投稿したりなど冷静さや品性を失った世界がそこにあるわけです。

 

その中でも「いいね」や「フォロワー」の数を増やすための武器はお金です。お金がある人はない人よりも「いいね」や「フォロワー」の数を増やす選択肢が圧倒的に増えます。

 

お金があれば動画作成をプロに依頼出来ます。高級ホテルに泊まって配信することも可能ですし、高級品を自慢することも出来ます。珍しいペット(高い)を飼育したり、セレブ的な生活を演出することが可能です。(珍しいもの、日常とは違うものに「いいね」や「フォロワー」は集まる)

 

昔からお金は承認されるための大きな武器(ブランド物を身に付けたり高級車に乗ったり)でしたが、一部のお金持ちしか出来ませんでした。しかしネット(SNS)が発達したおかげで全員にそれが許されることになりました。

 

なぜならお金を稼ぐチャンスが多くの人に与えられたからです。物理的に稼ぐチャンスが増えたことに加えて、精神的にも稼ぐ(稼げる)ハードルが下がりました。昔は権力者や有名人、家柄やコネのある人、一握りの突出した才能のある人だけしか稼ぐことが出来ませんでした。雲の上の存在です。

 

しかし今はそんなものを一切持たなくても稼いでいる凡人にSNSやYouTubeを開けばいくらでも触れることが可能で、「あの人でも稼げるのであれば私も・・・」とメンタルブロックが外れやすい世の中になりました。

 

一攫千金がより身近になったのです。これが承認欲求と結びついたおかげで、現代人のお金の囚われや執着は加速度的に大きくなりました。お金と承認欲求の結びつきは、考えられる限り最悪の組み合わせです。

 

それを煽り仕掛けている人がいるのですが(儲かるから)、振り回されない(囚われない)ように精神を高めて常に心を落ち着かせておかなければいけません。なぜならお金と承認欲求は人を容易に深い沼に引きずり込むことが出来るからです。気づいたときにはすでに遅いのです。

 

私がいつも「囚われるな」「常に自分の状態を客観的に把握して欲しい」と言うのは、欲や本能に振り回されない状態を維持し、自分の精神を守ることが大事だからです。特に今の時代は。この重要性に気づいている人が少ないのが現状です。

 

現代はありとあらゆる仕掛けを用いて欲や本能を刺激し、ある方向へ誘導しようとする輩が溢れているのです→バカにならないためにを参照してください。そこに捕まると下手をすれば人生が破綻するくらいのダメージを負います。そうならないためにも、納得した人生を送るためにも「囚われない」心が必要なのです。 

お金の囚われを手放すためには?

お金の囚われや執着を手放し、お金に振り回されないようにするには、「振り回されないメンタル」と「知識」が必要です。

 

お金の囚われや執着はお金がなくなることの不安や恐怖、他人からどう見られるか?の承認欲求から生まれます。(その逆もある)不安や恐怖、承認欲求が生じることは人間である以上、仕方のないことですがコントロール出来なくなるのはいけません。

 

自分の中に生じた感情や気分、感覚をいつでもどこでも出来るだけコントロール可能なメンタルを身に付けておく必要があります。特に今の時代は不安や恐怖などを煽って(ポジティブな感情も使う)誘導しようとする輩が溢れているので、自分(自分の大事な人や家族)を守るために振り回されないメンタルを身に付けましょう。

 

振り回されないメンタルを身に付けるためには、マインドフルネスの実践や瞑想に取り組むのが最も効果的です。マインドフルネスの実践や瞑想は「今この瞬間」の気づきを重視し、そこで何が起きているのか?を客観的に観る訓練です。

 

この積み重ねが不安や恐怖など(他者が作ったポジティブ感情にも)に振り回されないメンタルを作り上げます。振り回されないメンタルが身に着いていれば、煽りを受けて仮に不安や恐怖が生じても、それに飲み込まれずに冷静な自分に戻ることが出来ます。身に付けるためにはマインドフルネスの訓練を繰り返すしかありません。心の筋トレです。

 

お金の囚われや執着を手放すには、知識も必要です。何の知識が必要か?それはお金や世の中の仕組みです。お金はどういった経緯で生まれてどういう扱いをされてきたのか?誰がお金を支配しているのか?世の中でお金はどう動き、それに伴いどんな事象が起きているのか?といった知識や情報です。

 

こういった知識に触れることで精神的にお金から距離を置くことが出来るようになります。冷静にお金を観ることでお金に対する価値観や捉え方が変化するのです。

 

ここで紹介した方法に取り組むと、お金を儲けるためだけに考えたり行動することがバカらしくなってきます。もちろん生活するためにはお金は必要です。自分のやりたい事や達成したい事のためにお金は必要です。しかしそこを冷静に観ることで「必要以上にお金が欲しい(執着)」とはなりません。

 

お金の囚われや執着を手放すとは、お金を使わずに最低限の生活をするとか高い物は買わないということではなく、必要以上にお金が欲しいという気持ちに振り回されないということです。

 

心の底から本当に欲しい物と出会ったらそれがいくら高くても(1億円でも)頑張って稼いで買えばいいのです。それはお金の囚われではありません。お金は手段です。目的ではありません。お金に囚われるといつのまにか目的がお金になります。

 

お金を稼ぐためなら嘘をついてもいい、人を騙してもいい、人を傷つけてもいいとエスカレートします。これは大げさでも何でもありません。今の世の中を見渡してください。そんな人で溢れかえっているでしょう。そうなるのは誰かが煽って仕掛けている(儲かるから)からです。

 

煽りに乗せられないでください。何が起きているのか?を冷静に見つめて自分で考えて、自分と向き合うことが、お金の囚われや執着を手放すことにつながります。お金の囚われや執着を手放すことが出来れば悩みや苦しみは激変しますよ。