マインドフルネスの歴史。

ここではマインドフルネスの歴史を単純化してお伝えしています。本気で全てを伝えようとすれば、仏教の歴史にも言及しなければいけません。そうなると仏教の歴史の解説だけでも膨大な量になるのであえて省いています。(仏教の解説のHPになってしまう)

 

仏教の歴史を知りたい方は、専門書やサイトなどを読んでみてください。

  

マインドフルネス(mindfulness)という言葉は、パーリ語(南伝上座部仏教の経典で使用される言語)の仏教用語であるサティの英訳と言われています。

 

サティは特定の物事を常に心に留めておくという意味です。日本には「念」や「気づき」という意味で伝わっています。サティは仏教において非常に重要な要素と言われています。

 

近年の西洋におけるマインドフルネスの流行は、1965年にアメリカで移民国籍法が成立し、アジアからの移民が増加したことが背景にあります。この時に多くのアメリカ人が東洋の思想や文化に触れる機会が増えたのでしょう。

 

そこに拍車をかけたのが上座部仏教の僧侶であったニャナポニカ・テラ師、ベトナム人の禅僧ティクナット・ハン師です。

 

彼らはマインドフルネスは仏教の中心であると説き、英語でマインドフルネスに関する著作を多く書きました。ティクナット・ハン師は「常にマインドフルネスでいなさい」とアメリカだけでなく、世界中にマインドフルネスを伝える活動をしております。

 

医療としてのマインドフルネスをスタートさせたのは、禅(曹洞宗)を学んだ分子生物学者のジョン・カバット・ジン氏です。1979年にマサチューセッツ大学で、マインドフルネスストレス低減法(MBSR)を始めました。

 

MBSRは簡単に言えば、仏教色を取り除き、現代人向けにアレンジした瞑想プログラムです。精神疾患から慢性的な身体疾患まで、幅広く効果が期待できると言われています。

 

MBSRは当初はさほど注目されず、行動療法の一環として普及していきました。MBSRが広がりを見せたきっかけは、1990年代以降における脳科学の発展です。

 

マインドフルネスの実践や瞑想が脳を造り変えて、心身に大きな影響を与えることがわかったのです。

それがアメリカでの東洋思想への興味が高まった時期(定期的にやってくる)と重なったこともあったのでしょう。マインドフルネスの実践や瞑想、考え方や方法論などが改めて注目されるようになったのです。

 

マインドフルネスは医療だけでなく、教育や福祉、ビジネスやスポーツにも取り入れられるようになりました。MBSRやそれに類似したプログラムは、学校や刑務所、病院などに広く採用されています。(アメリカだけでなくヨーロッパの一部の国々でも)

 

ビジネスでいち早く取り入れたのがGoogle社を始めとする多くの世界的企業です。

 

マインドフルネスがメンタルヘルスだけではなく、ビジネスにおける生産性の向上(IQアップなど)に有効という理由で、ティクナットハン師やカバットジン氏を講師として招き、社内プログラムに導入していきました。

 

聞くところによると、これらの企業は一時に比べてマインドフルネスに注目していないそうです。ただ個人レベルでは、マインドフルネスの瞑想や実践はライフスタイルになっており、取り組むのが当たり前というところまで来ているそうです。

日本でのマインドフルネスはどうか?

日本にマインドフルネスという言葉が入ってきたのは1990年代も終わりに差し掛かろうとする時期です。(概念自体は昔からある)1993年に開催されたワークショップは関心を集めなかったそうです。

 

2016年にNHKや民放で、マインドフルネスがストレスの対処法として効果があると複数回放送されました。それ以降、たくさんの書籍も発行され、メディアでも取り上げられる機会が増加しました。

 

同時期にiPhoneのヘルスケアアプリに「マインドフルネス」のカテゴリーが追加されるなど、多くの日本人がマインドフルネスという言葉に触れることになります。

 

それに伴い、ビジネス化も急速に進み、マインドフルネスの名称を利用した怪しいセミナーや講座も出回ることになります。(商標登録も一気に増えた)

 

その一方でマインドフルネスに嫌悪感を覚える人もいます。その大きな理由は、90年代に起きた「地下鉄サリン事件」でしょう。「オウム真理教」が引き起こした無差別テロ事件です。

 

オウム真理教は「瞑想」や「ヨガ」を用いて信者を集めたり、洗脳を行っていました。(その教義の根幹はチベット仏教が中心)それゆえ、いまだに「瞑想」という言葉を聞くと反射的に拒否感を露わにする人も少なくないのです。

 

マインドフルネスが日本でそれほど流行らないのも、この事件があったことが大きいのではないでしょうか?

 

2021年7月20日現在では、マインドフルネスは一時(3年ほど前)に比べて下火になっている感があります。マインドフルネス関連の書籍の発行ペースは明らかに鈍り、メディアで取り上げられる機会もほぼありません。

 

ネットで検索する限りでは、東京や大阪でも講座やセミナーもかなり少なくなっています。実際に私の所への問い合わせも減少傾向にあります。(本気で取り組みたいと希望する人は増えた)

 

これは熱しやすく冷めやすく、流行に左右されやすい日本人の特性が原因なのでしょうか?

 

しかしマインドフルネスの実践に流行は関係ありません。私たちの心と身体のため、人生のために行うものですから。特に先行きの見えない現代(VUCAの時代)において、マインドフルネスはいつの時代に比べても重要度が高いはずです。

 

多くの人に実践してもらえるように、これからもマインドフルネスを伝え啓蒙していこうとコロナ過においてさらに強く思っています。

 

実は日本では文化や価値観の中に、マインドフルネスの考え方や実践があらゆる所に取り込まれています。きちんと理解して取り組めば抵抗なく実践出来るはずです。