医師や心理士にマインドフルネスが必要な理由②

医師や心理士、その他の対人援助職(教師、看護師、保育士、介護士など)に必要なのは専門的な知識や技術はもちろんのこと、自身のメンタルをコントロール力や抽象度の高い思考、囚われずに話しを聴く能力(傾聴)が必要となってきます。(違和感を与えない雰囲気も必要。詳しくは→医師や心理士にマインドフルネスが必要な理由①

 

これは非常に重要な能力なのですが、体系的に学び訓練できる所は限られています。現場で働く多くの方が必要と認識しているのにも関わらず、医師や心理士、対人援助職の教育プログラムにそれは含まれていません。

 

軽く触れる程度には学ぶのですが、教育プログラムはあくまで資格を取るための内容です。こういった能力は「自分で本を読んで知識をつけて現場で実践しながら身に着けてね」というのが現状です。

 

たしかにメンタルのコントロールや聴く力は経験の中で培われるものでもあります。いろいろな体験をし失敗しながら身体で覚えるものですが、基本となる前提の知識や考え方、物の見方が備わっていなければいくら経験を積んでも体得することは困難です。

 

経験だけで体得できるのであれば、世の中は素晴らしい対人援助職の方で溢れかえっているはずです。しかし現実はどうでしょうか?

 

自身のメンタルコントロールや抽象度の高い思考は、マインドフルネスの実践や瞑想にしっかりと取り組み、現場に応用する方法を学べばかなりのレベルまで身に着けることが可能です。

 

マインドフルネスの実践や瞑想そのものがメンタルコントロールの訓練であり、抽象度の高い思考の訓練でもあります。鍵になるのは「今この瞬間の気づき」と「囚われない」です。

 

勘違いをしている人が多いのですが、マインドフルネスの実践や瞑想はリラクゼーションや心を一時的に落ち着かせるといった「癒し」ではありません。

 

精神性や人格を高めて、生き方の訓練そのものであり、脳(心)を根本的に造り変えるエクササイズでもあります。マインドフルネスの実践や瞑想に継続して取り組むと、あらゆる脳の部位が発達することもわかっています。

 

脳が発達することでメンタルコントロールが上手くなったり、IQ(思考力など)がアップしたりします。しかしいつも言っているようにこれはマインドフルネスの目的ではありません。マインドフルネスの目的はもっと先にあるのですが、マインドフルネスの実践のプロセスで生じるこれらの効果は見逃せません。

 

もちろんマインドフルネスの実践や瞑想以外にも、メンタルコントール法や(アンガーマネジメントなど)抽象度の高い思考の訓練はありますが、マインドフルネスが比較的取り組みやすいと考えています。(その理由 ①身体を主に用いるから ②応用性が無限だから ③全ての機能がアップするから)

抽象度を上げることの重要性

クライアントや患者の悩み、抱えている問題を解決するために必要なのは傾聴やアドバイス、教育だけではありません。クライアントや患者の抽象度を上げる(IQアップ)ことが出来るかどうかも大きく関係しています。

 

悩みや問題を解決できない原因は、簡単に言えば何かに囚われて抽象度が低い思考しかできない状態に留まっていることです。

 

何かに囚われて抽象度が低い思考しかできなくなると、視野は圧倒的に狭くなります。視野が狭くなる目の前で起きていることを偏った考え方、物の見方を通して認識します。その考え方や見方が問題解決や問題発見を妨げる大きな要因となっていることがほとんどです。

 

そんな状態に陥っている人にいくら正しいことや正論とされるアドバイスを行っても無意味です。無視されるか反発されるかでしょう。

 

必要なのは抽象度を上げる思考を促すこと。(もちろん簡単ではない)抽象度が高い思考が出来るようになれば、自然と解決策が見え、クライアントや患者は自分の力で悩みや問題を解決できるようになります。

 

つまり自立です。対人援助職、特にカウンセラー(心理士など)はクライアントの自立をいかに促すか?が仕事です。「治してあげる」「解決してあげる」という傲慢な考えは必要ありません。(不思議なことに医者には治してあげる(治せると思っている)という傲慢な人が多い)

 

クライアントや患者の話しをただ聴くのではなく、抽象度の高い思考を促す聴き方(傾聴)をしなければいけません。

 

そのためには自身が抽象度の高い思考を普段から行う必要があります。(正確には抽象度の高さを自由に変えることが出来るかどうか)

 

マインドフルネスの実践や瞑想は自身や今ここで起きていることを一つ上の視点から観る実践です。マインドフルネスの実践そのものが抽象度を上げる方法であり、日々取り組めば自然に抽象度の高い思考が身に着くでしょう。

 

心理カウンセラー自身が常に抽象度の高い思考が出来れば、クライアントの抽象度を高める思考を促すのは容易になります。これらはテクニックでも方法論でもないのです。 

心理士(カウンセラー)が病んでるのはどうなの?

私が知っている限り(何十人も見てきて)心理士(カウンセラー)という肩書を持っている人は精神的に不安定だったり、現在進行形で何らかの精神疾患を抱えている人が少なくありません。

 

もちろん「自分自身が精神疾患に苦しめられた。だから同じ疾患を抱えている人の助けになりたい。」という思いは尊重されるべきです。しかしそれを克服出来ていない状態で、他者の援助をするのは無理があるのではないでしょうか?

 

心理士は自身のメンタルコントロール、特に感情を上手くコントロールする能力が必要不可欠です。

 

これは少し考えてみるとわかると思います。心理士とは心の専門家(と一般的には見られている)です。心の専門家が自身のメンタルをコントロール出来ないのはプロとしてどうなの?と思いませんか?

 

自身のダイエットを成功させることが出来ないトレーナーが、ダイエットの知識だけを詰め込んでお金を取り指導をしているようなものです。

 

心理士が自身のメンタルをコントロール出来ないと、現場でどのようなことが起こるのでしょうか?

 

クライアントの状態やクライアントの発言などに感情を乱されると、抽象度の低い思考しか出来なくなります。IQは低下し、自分自身の中に生じる思考や感情に囚われます。

 

このような状態でクライアントの話しをクライアント自身の抽象度を高めるために聴くこと(傾聴)は不可能です。また心理士自身が何かに囚われると、それはクライアントに伝わり、クライアントの精神を不安定にさせます。(落ち着かなくなる)これではカウンセリング自体が成り立ちません。

 

このような状態を防ぐために心理士の中には自分自身に囚われないようにセッション中は「感情を押し殺す」という人もいるそうですが、これはやってはいけません。(押し殺している時点で囚われている)

 

押し殺した感情は必ずどこかで噴出します。カウンセリング中に出なくても、日常の中で大きなストレスとして心と身体を襲います。

 

それが長期間続くと心理士自身が体調不良や病気に悩まされてしまいます。(そんな状態でまともにカウンセリングは出来ない。しかもそれが周りに伝染する)

 

心理士の中には精神的につぶれてしまって転職せざるを得なくなる人が少なくありませんが、それは間違ったメンタルのコントロールをしてしまったからです。(最初に言ったようにそもそも自身のメンタルをコントロール出来ない心理士は問題)

 

感情をコントロールするとは、感情を感じないようにしたりスルーすることではありません。生じた感情に囚われないことです。囚われたとしてもすぐに戻ってくることです。常に自分の状態を把握していることです。

 

感情は本能ですから生じるのは当たり前です。それはプロであっても当然。生じた感情を無視せずにどう扱うか?です。もちろんこれは心理士だけでなく、医者や看護師、教師や介護士の人達も同様です。

 

自分の思うようにいかないと(言うことを聞かないと)生徒や患者に怒鳴る教師や医者がいるそうですが、それも自身のメンタルをコントロール出来ないことが原因です。

 

対人援助職の方々にとってメンタルをコントロールする力は必要不可欠です。徹底的にマインドフルネスの実践と瞑想に取り組んで自身と患者(クライアント)の為に身に着けて欲しいと願っています。