怒りを手放す方法

あなたは最近、怒りを感じましたか?

 

怒りというのは非常にエネルギーが強い感情です。「怒りを原動力にして〇〇を達成した」という人の話しを聞いたことがあると思いますが、怒りは私たちの行動を強く促すエネルギーの一つです。エネルギーが強いということは、それだけコントロールが難しく囚われやすいとも言えるのです。

 

怒りは全ての生き物に備わっている本能であり、何かを達成する原動力にもなるのですが暴走すると取返しのつかない結果を招くことがあります。

 

怒りの感情に頭が支配され我を失い目の前の人を傷つけてしまった、取り返しのつかないことを言ってしまったという経験は、もしかしたら誰にでもあるかもしれません。

 

怒りは私たちのIQを極端に一瞬で低下させます。基本的に全ての感情はIQを低下させるのですが、中でも怒りは恐ろしく早く圧倒的にIQを低下させるのです。

 

IQが低下すると冷静な思考や判断が出来なくなります。またIQが低下した状態では、他者からの暗示や刷り込みを受けやすくなります。それは自分の意思とは関係なく他者にコントロール(洗脳)されるリスクが上昇することを意味します。

 

上手な詐欺師(メディアなども)は心理テクニックを用いて、相手の様々な感情を引き出しIQを低下させ自分の都合の良い方向へ誘導します。普通であれば信じない話しでも、IQが低下した状態では受け入れてしまう場合があるのです。

 

第三者から見ると「なんでそんな馬鹿な話しに騙されるの?」と不思議に思うかもしれませんが、IQが低下した状態だとその馬鹿な話しでも信憑性を感じてしまうのです。「そんな馬鹿な話しに騙されない」と言ってる人でもIQが低下した状態ではそれを受け入れてしまうことでしょう。

 

先ほど怒りという感情はIQを最も低下させると言いましたが、それがよくわかるのが喧嘩や怒鳴りあいです。普通の状態で考えれば暴力や暴言は問題を解決するには程遠い方法であり、その場は上手く収まったように見えても長い目で見れば絶対にマイナスでしかありえないことがわかるでしょう。

 

しかしIQが低下し冷静な思考や判断が出来ない状態に陥ると、そんな当たり前の考えはどこかに消え去り怒りに任せた行動や思考しか出来なくなります。その最悪の出来事が殺人でしょう。

 

何かが原因で言い合いになり、怒りが膨らみたまたま目の前にあった刃物で相手を刺してしまった。裁判の判例を見てもこのような殺人事件が目に付きます。刃物で刺さなくても相手を殴った、肩を押したといった行為でも打ち所が悪ければ死ぬ場合もあります。そのようなことで結果的に殺人になった事件もあります。

 

「殺人を犯す人間は悪い奴で自分達とは違う生き物だ」と認識している人が多いと思うのですが、普段は優しく冷静な人でも怒りで我を忘れてしまうと人を結果的に殺してしまうかもしれません。怒りを感じる全ての人はそのリスクを持っています。悪い人間か、良い人間かどうかは関係ありません。

 

もちろん他の感情、例えば悲しみや自己嫌悪などでもIQは低下しますがこの場合は、その感情に伴う行動が相手に向かうことはあまりありません。自傷行為はあるかもしれませんが人を傷つけることはほとんどないでしょう。しかし怒りによる行動は相手に向かう(物だったり自分に向かうこともある)場合がとても多いのです。

 

大事な人を傷つけないために、取り返しのつかない後悔をしないために怒りという感情をコントロールする術を身に付けなければいけません。全ての人に必要なメンタルスキルです。

やっぱり「気づき」が大事

怒りをコントロールするためには「気づき」がとても重要です。「気づき」の重要性についてはありとあらゆる場面で伝えてきました。このホームページの至る所にも書かれてあるはずです。

 

怒りを始めとする感情に飲み込まれて制御できなくなるのは、「自分が今どんな状態に置かれているか?」の「気づき」がないからです。

 

「気づき」があれば怒りという感情が生じていても、飲み込まれることはない(強すぎる怒りは非常に難しい)のでコントロールが可能になります。ですから感情をコントロールするためにはいかに「気づき」を発動させるか?が重要なのです。

 

「気づき」を発動させるためにするべきことは、自分の状態を客観的に観ることです。「今自分の頭の中にはどんな言葉が浮かんできているのか?」「どのような気分なのか?」「何に意識が向いているのか?」「身体で緊張している部位は」と自分の中でリアルタイムで起きている事象を観察するのです。

 

自分の中で起きている全てのことを観察して欲しいのですが、それはなかなか難しいと思います。最初はどれか一つでかまいません。自分を観察する力が上がるほど、「気づき」も深くなります。感情に飲み込まれるリスクは「気づき」の深さに比例して低下するので、自分を観察する力を磨くことが怒りに囚われないことにつながるのです。

 

ここで勘違いして欲しくないことがあります。怒りをコントロールするというのは、怒りを消すとか怒りを感じないようにするのではありません。怒りは生じているけどもその怒りと距離を取って、冷静に観ることを言います。

 

怒りを消すことは不可能ですし、感じないようにするのも不可能です。怒りを始め全ての感情は本能であり、私たちに何かを伝える重要なメッセージでもあります。怒りを消して感じないようにしても、怒りは消えたように見えるだけでその反動は必ずどこかで私たちを襲います。

 

怒りを否定することもしてはいけません。「こんな小さなことで怒る私はなんて器の小さい人間だ」と生じた怒りと自分を否定する人がいますが、これはダメ(もっと言えば否定する自分もダメと否定しない)です。生じる怒りは仕方がありません。否定するのではなく、怒りが生じたことを認めてください。ただ「自分は今怒った」と。

 

そのためには怒りが生じた瞬間に「自分は今怒っている」という「気づき」がなければいけません。怒りという感情は一瞬で大きく膨らんでしまうので、出来るだけ早く気づいて欲しいのです。大きく膨らんだ状態では「気づき」を発動させることが難しくなり、コントロールが困難になります。まだ怒りが小さいうちに気づくようにした方が良いのです。

 

怒りが生じた瞬間に「気づき」を発動することを繰り返していくと、怒り自体が生じることが圧倒的に少なくなります。脳がちょっとしたことでは、根本的に怒りを生じさせないように造り替わるのです。この変化は実際に脳科学でもわかっており、気づきの訓練(マインドフルネス)が「脳の筋トレ」と呼ばれる所以です。

 

私自身もかなり長いこと、マインドフルネスの実践や瞑想に取り組んでいますが昔に比べると圧倒的に怒りに囚われることは少なくなりました。怒り自体は生じますが、生じたとしてもその怒りは小さくすぐに自然に消えることがほとんどです。

 

怒りをコントロールしようとか、「気づき」を発動させようという意識もありません。マインドフルネスを継続した結果、身体に備わった能力の一つなのでしょう。

 

これは私だけでなく、マインドフルネスの実践や瞑想を継続している人の多くに起きている現象です。脳科学の研究が示すように、脳自体が根本的に変化しているはずです。

その場で出来る怒りの対処法。

では最後にその場で出来る怒りの対処法についてお伝えしていこうと思います。ここで紹介する対処法はやり方自体は単純に見えますが、身に着けるとかなりの効果を発揮します。ぜひ繰り返し練習して身に着けてください。

【怒りの対処法】
1)自分は今怒っている、怒りが生じていることに気づく
2)身体に起きている反応を観察する。
3)怒りから距離を取るために呼吸を意識する。

この方法は怒りだけでなく、不安や恐怖をコントロールするためにも使えます。怒りに限らずいろいろな感情や衝動的な行為にも応用可能です。

例えば禁煙や過食など。タバコが吸いたくなったら、暴飲暴食したくなったら1~3を行ってみてください。衝動が落ち着いてくるはずです。

怒りを感じたときにその場で1~3を実践してください。そうすると怒りと距離を置くことが出来るので冷静さ(IQ)が維持できるはずです。続けることで自然と怒りの感情は収まっていきます。

 

怒りが収まらなくても頑張って1~3を続けてください。最初は上手く出来ないかもしれませんが、根気よく取り組むと必ず怒りをコントロールすることが出来るようになります。

 

怒りに引きずられそうになっても1~3に戻る。これはかなりのエネルギーが必要でありしんどいことでもあるのですが、それは脳を鍛えているという証拠でもあります。繰り返し続けることで脳は根本的に変化しどんな場面でも感情に囚われてIQが低下しない人間になるでしょう。

 

不安を手放す方法も参考にしてみてください。