最強のストレス軽減法。

「暑い」という刺激に対して体温を下げるために「汗が出る」という現象がストレス反応です。このストレス反応が強いほど、私たちの心と身体に対する負担が大きくなります。

 

ストレス反応が起きるのは仕方がないことです。生存を維持するためにも必要なことで、私たちの意思とは無関係に起きるもの。「暑い」という刺激に対して「汗が出る」というストレス反応が起きなければ、体温がいつまでも上昇して生存が不可能になるからです。

 

「暑い」という刺激が生じたとき「汗が出る」に留めておけば良いのですが、私たちはその現象に対して余計なものを付け足してしまう生き物です。不快感や嫌な気持ちがそうです。

 

「暑いのはしんどい」「汗が出ると気持ち悪い」「汗が出るのが嫌だ」というようなネガティブ思考が自動的に働いてしまうのです。しかもこの思考は連想してどんどん大きくなり、それに比例して嫌な気持ちや不快感も大きくなります。暑い日が続くとイライラする人が増えるのは、自動的に浮かぶネガティブ思考が連想し大きくなって手放せなくなるからです。

 

ここで少し考えてみてください。なぜ暑いと不快感や嫌な気持ちが生じるのでしょうか?

 

温泉やサウナは真夏の気温よりもはるかに高温です。しかし温泉やサウナに入っている人が「暑いのは不快だ」とイライラすることはありません。むしろ「気持ちが良い」「汗が出るのは快感」と感じているのではないでしょうか?

 

つまりそういうことです。その状況が不快かどうか嫌な気持ちが生じるかどうかは、刺激ではなく私たち側の問題なのです。

 

「暑くて汗が出る」というストレス反応がばっちりメイクをしている時は「汗でメイクが崩れたら嫌だ」と不快なものになり、温泉やサウナでは「汗がたくさん出てデトックス」と快になります。起きている現象が同じでも私たちの捉え方によって心に生じる精神的ストレスの多寡に違いが出るのです。

 

ストレスが溜まる人は、わざわざネガティブな捉え方をして精神的ストレスを大きくしている可能性が高いのです。

 

「暑いと汗が出る」や「家具に小指をぶつけると痛い」という物理的ストレスが生じるのは仕方がありませんが、それに対して生じる精神的ストレスは訓練次第でいくらでもコントロールが可能です。家具に小指をぶつけた時に「なんでこんな所に家具があるんだ」とか「どんくさい自分が嫌」と自動的に浮かぶネガティブ思考は痛みを増大させ、新たなネガティブ思考を生み出します。それがまた痛みを長引かせてという悪循環になるのです。

 

最初の物理的な痛みは避けることは出来ませんが、次の痛み(精神的ストレスによる)は避けることは十分に可能です。

 

その方法は自動的に思考が浮かんできた時に、自分の身体の感覚の方に意識を強く持っていくことです。代表的なものが呼吸。暑いときに「不快だ」と感じたら呼吸に意識を持っていってください。家具に小指をぶつけて痛みが生じたら呼吸に意識を持っていってください。

 

それが上手く出来ると不快感や痛みは小さくなるはずです。場合によっては消えることもあるでしょう。精神的ストレスと物理的ストレスは大きく関係しているので、精神的ストレスをコントロール(ネガティブ思考を連想させない)すれば物理的ストレスもコントロールが可能なのです。

 

意識を持っていくのは身体のどの部位でもかまいません。足の裏でもお腹でも腕でも良いのですが、多くの人にとっては呼吸が意識しやすいのでは?と思います。

 

身体の感覚に意識を向けると思考や感情と距離を置くことが出来ます。思考は距離を置くとそれ以上膨らまない性質があります。ネガティブな思考(感情も)が浮かんだらとにかく距離を置くことを意識してください。ネガティブ思考を自然に手放せるようになります。

 

ネガティブ思考が浮かぶ頻度が少なくなれば、それだけ精神的ストレス(物理的ストレスも)も小さくなります。物理的ストレス(暑いとか痛いとか)が生じたときに自動的に発生するネガティブ思考と距離を置きましょう。そのために身体の感覚(呼吸がやりやすい)に意識を向けましょう。

 

これが最強のストレス軽減法です。最初はある程度の訓練(身体に意識を持っていく練習)が必要ですが、きちんと取り組めば数日でコツをつかむことも可能です。具体的な訓練はこのページの最後に紹介しています。

身体の感覚へ意識を向けると病気が治る?

身体の感覚へ意識(マインドフルネス)をしっかりと向けることが出来るようになると、様々な身体症状を改善できる可能性があります。

アメリカでマインドフルネスを普及させたこの道の第一人者であるカバットジン博士は慢性的な痛み」「皮膚疾患」「線維筋痛症」といった身体症状にマインドフルネスの実践や瞑想が有効と言っています。またマインドフルネスの実践や瞑想を継続して行うと、自律神経の乱れを改善することもわかっています。

 

諸説ありますが身体症状の多くは、自律神経の乱れによって引き起こされると言われており、マインドフルネスの実践や瞑想の取り組みによって自律神経の乱れが整えば身体症状も改善されるという理屈になるのでしょう。


実際に私がマインドフルネスを指導した人の中にも「ずっと抱えていた腰痛や頭痛が治った」「更年期の症状が軽減して気にならなくなった」「アトピーがかなりマシになった」「血圧や血糖値が正常範囲んに下がった」「口内炎が1日で治った」という経験をする人が少なくありません。興味深いところでは「火傷が短期間で治った」「長年悩んでいた不妊症が改善した」「治療法がない難病(ベーチェット病)が治った」という人もいます。

 

これらを報告してくれた人達はきちんとした医学的エビデンスに基づいた投薬などの治療を病院やクリニックで長年受けていた人達です。それがマインドフルネスの実践や瞑想に取り組んでからわずか数か月で(早い人は数日)このような変化を体験しているのです。

 

もちろん「たまたま良くなる時期にマインドフルネスに取り組んだので、マインドフルネスによって改善したように見えるだけ」と考えることも出来ます。しかし同様の報告は世界中であり生化学的に見ても十分に考えられる現象です。

 

マインドフルネスの実践や瞑想は病気に対する治療ではありませんが、もっと科学的に検証をする価値があると思います。

身体の緊張を緩めるとストレスは軽減する

先ほど身体の感覚に意識を向けることがストレス軽減につながるとお伝えしました。その理由はネガティブ思考(感情)と距離を置くことが出来るからと言いましたが、もう一つの理由があります。それは身体に意識を向けると身体的(筋肉など)な無駄な緊張が抜けるからです。

 

ストレスを感じると身体(心も)は緊張します。その緊張はさらなるストレス(身体が緊張するとネガティブ思考や感情が生じやすくなる)を呼び起こします。

 

実は身体が緊張した状態では、ネガティブな思考や感情と距離を置くのが難しいのです。なので可能であればストレスを感じたとき、身体を緩めるということも行って欲しい。呼吸に意識を持っていくことをおススメしたのは、呼吸に意識を持っていくことで物理的に身体の緊張を緩めることが出来るからです。

 

物理的に身体の緊張を緩めるだけであれば、ストレッチや軽い運動でも効果があります。身体は動かすことでほぐれて緩むという性質があり、慢性的な運動不足(身体が緊張しまくり)の現代人は身体を動かすことを日常生活の中(階段を使う、歩くなど)で意識する必要があります。

 

ストレスが溜まりやすい人が多いのは、身体が慢性的な緊張状態にあることも理由の一つかもしれません。身体が緊張しているとネガティブな思考や感情が生じやすくなるので、ストレスを軽減したいと考える人は普段から身体を緩めておきましょう。

ボディスキャンに取り組んでみよう

というわけで最後にストレス軽減の肝である身体の感覚に意識を持っていく訓練を紹介します。それがマインドフルネス瞑想の一つである「ボディスキャン」です。訓練と言うと大げさかもしれませんが、しっかりと取り組んでいくと非常に効果的です。

【ボディスキャンのやり方】

1)猫背にならないようリラックスして椅子に座ります。足の裏は床にきちんとつけましょう。*立った状態でも大丈夫です。

2)床と足の裏の接地面へ意識を向け、足の裏の感覚を観察します。


・どこが強く触れているか?
・どこが浮いているか?
・左右で触れ方が違うか?
・温度はどうか?

などを意識に上げます。その時に頭の中に浮かんできた言葉やイメージなどにも同時に気づいておきましょう。

3)床と踵が触れている感覚に1分間意識を向け続けます。意識が踵から外れたら踵に意識を戻してください。呼吸は止めずにゆっくり行いましょう。

身体のマインドフルネス瞑想ではこれを応用して全身を一つ一つ順番に感じていきます。しかし今この段階では紹介した足の裏の感覚を感じるだけでかまいません。まずは身体の感覚を感じるということに慣れてもらいたいからです。

まだ身体の感覚に意識を向けることに慣れていない段階で全身に意識を向けていっても感じている「つもり」で終わる可能性が高いからです。

ボディスキャンは上手くできるようになると本当にいろいろな身体の変化が実感できます。ボディスキャンが上手くなればなるほど、自分の心と身体のコントロールすることが容易になってくるでしょう。

またボディスキャンはリラックス効果も非常に高いし慣れるといつでもどこでもできるという優れた方法でもあります。身体の感覚は高めると本当にたくさんの良いことがありますので、ボディスキャンはぜひとも身に着けて欲しいマインドフルネス瞑想の一つだと思います。

 

 

*ここで紹介しているマインドフルネス瞑想は、この通りにきちんと実践するように心がけてください。自分に都合良く解釈して取り組むと場合によっては心身の不調を招くリスクがあります。一人で行うのが難しい場合はセミナーやパーソナルトレーニング(8週間プログラム)に参加することをおススメします。