糖質制限はまだまだ流行っているそうです。実践している人に出会うことは少なくありません。
ダイエット関連の書籍やYouTubeでも「糖は太る原因だからカットした方がいい」とアドバイスしているのをよく目にします。
糖質制限については賛否両論ありますが、当研究所では糖質制限をおススメしないという立場を取っています。
その理由は糖を制限して、脂質やタンパク質の摂取量を増やした食事にはメリットがないからです。長期に渡って糖質制限を行うと糖尿病を始め、様々な病気を発症するリスクが上昇します。
「えっ!!糖尿病は糖の摂取が原因だから、糖を制限すれば糖尿病は防げるのでは?」と思った人がいるかもしれませんが、実は糖の摂取と糖尿病は無関係です。
むしろ逆です。糖を減らせば減らすほど、糖尿病のリスクが高くなります。
もちろん身体が必要とする量を超えた摂取が続けば発症リスクが上がります。しかしそれは糖に限らず、脂質でもタンパク質でも過剰摂取が続けば同じことです。
過剰摂取しなければ、糖の摂取することに問題はありません。健康な人がわざわざ糖を制限して、脂質やタンパク質の多い食事にする必要はありません。
糖質制限ではどれくらい糖を制限するのでしょうか?
一般的な糖質制限食では、1日の糖の摂取を50g以下にします。その根拠は糖の摂取が50g以下になるとケトン体が作られるからです。
ケトン体は糖に代わって私たちの身体を機能させるエネルギー源です。糖を摂取しなくてもケトン体があればエネルギー不足にはならないという理論です。
糖の摂取が20g以下にならないとケトン体は生成されないというデータもあり、研究者や専門家によって意見が分かれています。
糖は人間に必要ないので、摂取量は0でも良いと主張している医者もいます。どちらにしても糖質制限食では糖の摂取を限りなく減らしていくのです。
糖質制限に似た方法としてローカーボ法があります。ローカーボ法では1日の糖の摂取量は130g以下とかなり緩い糖質制限となっています。
ちなみに日本人の1日の平均的な糖の摂取量は300gと言われています。
ローカーボ法ではケトン体をエネルギー源として利用しないので、カロリー制限食と捉えた方がいいでしょう。
糖質制限はカロリー制限ではありません。メインのエネルギー源を糖から脂質(ケトン体)に変えていく食事法です。
脂質をメインエネルギー源にするのメリットは
この辺りが糖質制限を勧める人達の代表的な根拠となっています。血糖値が上がらず、糖化も起こらないので糖尿病を始めあらゆる病気にかかりにくいと言います。
それは本当でしょうか?
結論から言えばこれは大きな間違いです。糖質制限を行っても糖尿病の予防や改善を期待することは出来ません。
また糖質制限を長期に渡って行うと、あらゆる病気の発症リスクが上昇します。なぜなら糖を制限する食事を続けると確実に糖代謝機能が低下するからです。
糖代謝機能は免疫システムの働きと密接に関係しています。
糖代謝機能が低下すればそれに伴い免疫システムの働きも低下するのです。つまり糖質制限を続けるとあらゆる病気の発症リスクが上昇するということです。
糖尿病患者が糖の摂取を制限すると血糖値が標準以内にまで低下します。この事実から「糖の制限が糖尿病に良い」と思うかもしれません。
しかしこれは血糖値が下がっただけで糖尿病は何も改善されていません。
血糖値は結果であり原因ではありません。糖尿病は代謝疾患です。代謝異常の結果、血糖値が上昇しているに過ぎません。
糖尿病を改善するためには、代謝異常をどうにかしないといけないのです。
糖を摂取しなければ血糖値が上がらないのは当たり前のことです。
糖質制限食の問題点は糖を制限することだけではありません。糖の変わりにタンパク質や脂質の摂取量を増やすことも大きな問題です。
タンパク質と脂質の摂取量が増えることでも、糖代謝機能は低下します。特に脂質の摂取量が増えるのが問題です。
脂質の摂取量が増えると糖代謝機能が低下するだけではなく、体内の炎症度を上昇させます。炎症は病気の発症リスクを高める要因です。
さらに脂質の過剰摂取は皮下脂肪や内臓脂肪を蓄積させます。内臓脂肪の蓄積は危険です。内臓に脂肪が蓄積されると炎症が生じ機能が低下します。
糖尿病患者の膵臓が機能していないのは、膵臓に脂肪が溜まり炎症が生じているからです。炎症が膵臓の細胞を破壊しインスリンの分泌を低下させるのです。
脂肪は筋肉内にも侵入します。いわゆる霜降り状態になるのです。筋肉が霜降り状態になると、糖を取り込めなくなります。そうなると糖が血液中に溢れ血糖値が上昇するのです。
もちろん脂質も私たちの身体に必要な栄養素ですが、少量で十分です。現代人は脂質の取り過ぎです。普通に食べていても脂質オーバー。
現代人に病気やアレルギーが増えているのは、脂質の過剰摂取が原因の一つでしょう。