糖質制限について

糖質制限はまだまだ流行っているそうですね。私の周りでも実践している人がいますし、書籍もたくさん出版されています。YouTubeで検索しても糖質制限を勧めている人が目立ちます。

 

糖質制限の効果や安全性については賛否両論ありますが、私自身は糖質制限はおススメしないという立場を取っています。

 

その理由は、糖を制限して、脂質やタンパク質を増やすのは身体の機能面から見ると良いとは思えないからです。

 

短期的な糖質制限であれば問題はないのですが、長期に渡って行うと糖尿病を始めとする様々な病気のリスクが高くなります。

 

「えっ!!糖尿病は糖の摂取が原因だから、糖を制限すれば糖尿病は防げるのでは?」と思った人がいるかもしれませんが、実は糖の摂取と糖尿病は無関係です。

 

むしろ逆です。糖を減らせば減らすほど、糖尿病のリスクが高くなります。(これについては後ほどわかりやすく解説します。)

 

もちろん普通ではありえないほどの糖の過剰摂取が続けば、糖尿病になります。しかしそれは糖に限らず、脂質でもタンパク質でも過剰摂取が続けば同じことです。

 

過剰摂取しなければ、糖を摂取するのは(砂糖も含めて)何の問題もありません。健康な人がわざわざ糖を制限して、脂質やタンパク質の多い食事にする必要はないでしょう。

 

糖質制限に興味を持っている人、実践している人はダイエット目的の人が多いという印象です。

 

糖質制限を行うと、短期間で体重はかなり落ちます。(病的な落ち方)それに伴い不眠やイライラ、疲れやすいなどの体調が改善されることも少なくありません。(総摂取カロリーが減ったことによる一時的な効果)

 

しかし長期に渡って糖質制限を行うことは、デメリットしかありません。

 

「もう長い間、糖質制限を行っているけど、健康だよ」という人がいますが、本当に糖質制限を行っているのか非常に疑問です。

 

糖質制限は、多くの人が思っている以上に糖質をカットします。毎日食べているごはん(お米)を半分にするとか、スイーツを食べないようにするとか、そんなレベルではありません。

 

糖質制限を本気で実践するのであれば、非常に強い意思が必要で、ほとんどの人は一か月も続けることが出来ません。(身体の防衛反応が働くので当たり前)

 

糖質制限を続けているという人によくよく話しを聞くと、本人に自覚はないのですが、けっこう糖質を摂取しています。(ただのカロリー制限になっている)糖質はお米やパン、スイーツだけでなく様々な食品にも含まれており、実践するのであれば食品や栄養の知識も不可欠なのです。

糖質制限ではどれくらいまで制限する?

実際に糖質制限では、1日にどれくらい糖を摂取しても良いのでしょうか?

 

一般的な糖質制限食では、1日の糖の摂取を50g以下にします。その根拠は糖の摂取が50g以下になるとケトン体が作られるからです。

 

このケトン体は糖に代わって私たちの身体を機能させるエネルギー源となります。

 

糖の摂取が20g以下にならないとケトン体は生成されないという話しもあり、研究者や専門家によって意見が分かれています。

 

糖は人間に必要ないので、摂取は0でも良いと主張している医者もいます。どちらにしても糖質制限は糖の摂取を限りなく減らしていく食事法です。

 

糖質制限に似た方法としてローカーボ法があります。ローカーボ法では1日の糖の摂取量は130g以下とかなり緩い糖質制限です。(日本人の1日の平均的な糖の摂取は300gと言われている)

 

ローカーボ法ではケトン体をエネルギー源として利用しないので、カロリー制限食と捉えてもいいかもしれません。

 

糖質制限はカロリー制限ではありません。メインのエネルギー源を糖から脂質(ケトン体)に変えていく食事法です。

 

脂質をメインエネルギー源にすれば、常に体脂肪を使用するため太らない(太りにくい)し、摂取する糖が少なければ血糖値は上昇しないので、糖尿病の予防、改善に効果があり細胞を劣化させる糖化(AGE)も起こらないと言われています。

糖尿病の原因

これは大きな間違いです。糖質制限を行っても体脂肪は思ったより減りませんし、糖尿病の予防や改善も期待することは出来ません。脂肪が減らない理由に関しては→炭水化物は太らないを参照してください。

 

血糖値を上昇させる糖を減らすのに、なぜ糖尿病の予防や改善が出来ないのか?むしろ糖尿病のリスクが高くなるのか?と疑問に思われるでしょう。

 

まず血糖値の上昇は、糖尿病の原因ではありません。血糖値を上昇させる食事を続けていると、血糖値を下げるインスリンの分泌が少なくなり、血糖値が下がらず高い状態が続き糖尿病を発症すると言われています。

 

それは原因ではなく結果です。現代医学は原因と結果を取り違えていることが非常に多くあります。(意図的にそうしている場合も少なくない)

 

糖尿病は、糖を上手く細胞に取り込めない代謝異常の病気です。糖が細胞に取り込めないと糖は行き場を失い、血液中に溢れてしまいます。それが血糖値が上がった状態。

 

血糖値が高いのは原因ではなく結果です。ですから血糖値を下げよう、上がらないようにしようと摂取する糖を減らしたり、薬で血糖値を下げようとする行為はあまり意味がないのです。

 

なぜならそれを行っても、糖を細胞に取り込む機能(糖代謝)は戻らないからです。ではどうして糖を細胞に取り込む機能が低下するのでしょうか?

 

それは運動不足と脂質の過剰摂取です。

 

運動(特に強度の高い)のエネルギー源は糖です。運動すればするほど、効率よく筋肉へ糖が取り込まれるようになります。

 

筋肉へどれだけ糖が取り込めるかで運動のパフォーマンスは決まります。見方を変えれば運動とは筋肉への糖の取り込む機能を高めて、糖の貯蔵量をアップさせる行為と言えます。

 

逆に言えば、運動をしない人、あまり動かない人は糖の取り込む力が弱く、貯蔵する量も少ないのです。

 

摂取した糖の8割は筋肉で消費(又は貯蔵)されると言われています。なので筋肉への糖の取り込みが弱いと糖は余ってしまうのです。先ほども言ったように余った糖は血液中に溢れます。

 

肝臓でいくらかは糖を貯蔵できますが、筋肉に比べて少ない量しか蓄えることができません。

 

細胞が糖を取り込めなくなるもう一つの原因は、脂質の過剰摂取です。

 

脂質を過剰摂取すると恐ろしいことに、筋肉の糖の取り込みがストップします。その理由は過剰摂取した脂質が筋肉内に侵入するからです。

 

過剰摂取した脂質は皮下ではなく、まず内臓脂肪に蓄えられます。それでも余った脂質を身体は皮下だけでなく筋肉内にも蓄えようとするのです。いわゆる霜降り状態ですね。

 

筋肉は霜降り状態になるとインスリンが効かなくなり、糖が取り込めなくなるのです。(インスリン抵抗性)

 

その結果、血液中に糖が溢れて、血糖値が急上昇するのです。糖の取り込みが正常に出来る人は、糖を多く摂取し一時的に血糖値が上昇しても、インスリンの働きによって糖が筋肉に取り込まれて血糖値は低下します。

 

糖の取り込みが弱い人は糖が取り込めないので、インスリンが分泌されても血糖値が下がらないのです。

 

そして脂質の過剰摂取は、インスリンを分泌する膵臓にも悪影響があります。膵臓に脂肪が蓄積するのです。膵臓に脂肪が蓄積するとインスリンの分泌が低下します。(それが続くと分泌されなくなる)

 

この状態になっても運動不足と脂質の過剰摂取を続けていると、血液中に糖だけでなく脂質も溢れます。こうなると全身の細胞が慢性炎症状態になり、免疫システムが正常に働かなくなります。これが糖尿病です。

糖質制限が糖尿病のリスクを高める理由

糖質制限を実践している人の体内では、これと同じ状態が起きています。糖質制限食は糖を可能な限り控えるのですが、総摂取カロリーを抑えるわけではありません。

 

制限した糖の代わりに脂質やタンパク質の摂取を増やすのです。

 

私たちの身体は糖が入ってこないと(少ないと)体内に蓄えてある体脂肪(皮下脂肪)を分解してエネルギー源にします。この時、血液中に脂質を放出するのです。(遊離脂肪酸)

 

さらに糖の代わりに大量の脂質を摂取していますから、血液に脂質がより多く溢れることになります。

 

ここでエネルギーとして使われなくなった脂質は、筋肉にも蓄えられます。先ほどお伝えしたように筋肉に脂肪が蓄えられると、糖の取り込む力が低下します。膵臓にも脂質が蓄積するため、インスリンの分泌も弱くなります。

 

つまり糖質制限を続けるということは、自らこの状態を作り出しているということなのです。

 

糖質制限を長く続けていた人が、久しぶりに白米を少し食べた程度で血糖値が急上昇するのは、糖が取り込めずインスリンの分泌も少ない身体になっているからです。

 

これはまさに糖尿病です。血糖値ばかり見ていると身体がこういった状態になっていることに気が付かないのです。

 

この状態を作る糖質制限食を実践しても糖尿病は治りません。それどころかより症状は悪化するでしょう。

糖を取り込めないとあらゆる病気のリスクが上昇する

糖尿病を発症している患者の方があらゆる病気のリスクが高い理由は、糖ではなく脂質をメインのエネルギー源にしているからです。

 

脂質をエネルギー源にするということは、全身の細胞に脂質が多く循環することになります。

 

脂質は体内を循環している間に酸化されます。酸化した脂質は細胞に炎症を起こし、病気のリスクを上昇させるのです。

 

糖尿病患者の方が感染症にかかると重症化しやすいのは、すでに慢性炎症状態だからです。また慢性炎症はガンの発症率も高めます。

 

これは糖尿病を発症していない、予備軍の人達や糖質制限を長い間続けている人達の身体にも起きている現象です。

 

私たちの免疫システムは、糖代謝が上手く回っていないと機能しないことがわかっています。糖の摂取を制限するということは、結果的に糖代謝を低下させることなので健康とは程遠いことになるのです。

 

糖質制限にメリットがあるとすれば、ダイエットのモチベーションを保ちやすいということだけでしょう。糖質制限は短期間で体重を落とすことが可能だからです。(ダイエットのモチベーションは体重の増減で決まる)

 

但し、糖質制限で減った体重の大半は水分と筋肉です。病的な痩せ方になります。(ガン患者がガリガリに痩せるのは糖代謝が出来ないため、筋肉が分解されているため)

 

てんかんの患者や脳の疾患の患者の一部にケトン食(糖質制限)が有効というデータがあります。ケトン体については賛否両論ありますが、一部の人には効果があるのかもしれません。

わざわざ糖を制限する理由はあるのか?

ここまで読まれてきてどうですか?

 

すでに糖質制限を実践している人や、指導している人からすれば否定されたようで嫌な気持ちになったかもしれません。

 

しかしここで書いたことは、事実です。身体の機能を理解し代謝のメカニズムがわかれば腑に落ちるはずです。

 

そもそもなぜ私たちのメインエネルギー源である糖を制限する必要があるのでしょうか?効率の悪い脂質をエネルギーにする必要があるのでしょうか?

 

脂質やタンパク質もエネルギー源になるのですが、それは緊急時や強いストレスに備えた代替えシステムです。

 

食糧危機や遭難した場合ならわかりますが、食べ物が豊富に溢れいつでも効率の良いエネルギー源である糖が手に入る時代に制限する理由があるのでしょうか?

 

糖は太るから?糖化(AGE)が起き老化するから?中毒になるから?

 

それは嘘です。糖は速やかにエネルギー変わり常に消費されていますし、かなりの量を肝臓と筋肉で貯蔵します。(一部その他の臓器でも)余ったとしても3割ほどしか脂肪に変換されません。太るのは過剰な脂質の摂取です。糖を制限しても水分が抜けるだけ。

 

糖化は特殊な環境でしか起こりえない反応です。(高糖質、高たんぱく、高リン)しかもその反応は遅く、よほど血糖値が高い状態が続かなければ起こりません。健康な人が気にする必要はないでしょう。(糖化よりも過酸化脂質の方がはるかに恐ろしい)

 

中毒性があるというのも捉え方、考え方次第です。(必要と中毒は違う)

 

糖を求めるのは本能です。必要だから求めるのであり、それを我慢することはありません。

 

むしろ糖を摂取した方が健康になります。糖代謝と免疫システムは密接に関係しているからです。詳しくは→糖代謝について

 

糖を積極的に摂取し、定期的に運動をして、健康の維持、増進に励んでください。