集中力を高める方法

集中力で人生は決まる」と昔ある瞑想の大家から聞いたことがあります。これが正しいかそうでないかは様々に解釈することが出来るのでわかりませんが、私たちは人生のあらゆる場面で集中力が必要とされています。

 

例えば勉強。日本は学歴社会ですから学校の勉強が出来て、偏差値の高い高校や大学を卒業した方が有利であることは間違いありません。多くの親が子供を出来るだけ偏差値の高い学校に入学させたいと考えるのは、この事実を痛いほど知っているからでしょう。

 

塾や予備校、習い事など子供の教育にかなりの投資をする家庭は珍しくありません。昔の子供と違って全体的に勉強量は増えているはずです。しかし塾や予備校に行って勉強の量を増やしたからといって、成績が上がるかどうかはわかりません。

 

なぜなら勉強が出来るかどうかは集中力で決まるからです。生まれつきのIQも関係していると言われていますが、その影響は考えられていたよりも小さくどのように勉強するか?どう理解するか?の方が大事ということがわかっています。

 

同じ授業を受けているのに成績に差が出るのは集中力の有無が大きな要因。成績の悪い生徒は集中して話しを聞いていません。「早く授業が終わらないかな」「この授業だるいな」「放課後は何しようかな」と考えながら話しを聞いているので、先生の話しが頭に入ってきません。聴覚は働いているけど前頭葉は働いていないという感じです。

 

私は10年間、専門学校で非常勤の講師をしていましたのでこのことが先生という立場からよく見えていました。先生という仕事をやったことがある人であればわかると思いますが、教壇からは生徒がきちんと話しを聞いているのか?上の空なのか?などは顔を見れば一発でわかります。(わからない人は先生という職業に向いていないかも)

 

こちらの方を見て聞いているフリをしていても全部わかります。どこに意識を向けているのかもわかります。集中している時と集中していない時の人間の顔は明らかに違うのです。(物理的にというよりは発する雰囲気でわかる)

 

期末テストなどをするとそれが毎回証明されます。集中力がある生徒とない生徒では成績の差は歴然。テストをする前から授業を受ける彼らの顔を見ていれば成績がわかるほどです。

 

成績の悪い生徒は頭が悪いのか?と言えばそんなことは決してありません。むしろきちんと「話しを聞いていればかなり成績が良いのに。もったいないな・・・」という生徒も珍しくありませんでした。

 

成績の悪い生徒は話しを聞けていないのです。話しを聞こうという意思はあっても、集中力が低いため聞くことが出来ないのです。(初めから先生の話しを聞く気がないのは集中力の問題ではなく別の所に理由がある)

 

集中力が低いと勉強が出来ないだけでなく、仕事でもマイナス面がかなりあります。何回も同じミスをする人や仕事を覚えるのが遅い人は、能力が低いのではなく集中力が低いことが考えられます。

 

仕事が出来ない人の話しを聞くと、「またミスをするのではないか?」「怒られるかも」といった思考が自分の意思とは無関係に頭に浮かび、その思考に囚われて目の前のすべきことに集中が出来ないというのです。そんな状態では仕事のパフォーマンスが低下するのは当たり前。

 

集中力が高い人はそういった「雑念」が浮かんでも目の前のすべきことに、意識を向けることが出来るので高いパフォーマンスを発揮するのです。集中力の差です。能力の問題ではありません。(思考のクセでもある)

 

人間同士の能力差は多くの人が考えているほどありません。持っている能力はあまり変わらないのに、結果に大きな差が出るのは集中力が高いか?低いか?です。(もちろん運や環境もあるのですが)

 

こうやって考えてみると「集中力で人生は決まる」という言葉は大げさでもないのでは?と思います。集中力で人生は180度変わるのです。

 

幸いなことに集中力は元々持っている能力と違い訓練次第でいくらでも高めることが可能です。集中力が高まれば勉強や仕事のパフォーマンスは確実に上がります。それだけでなく集中力の高さはメンタルヘルスにも大きく関係しているので、集中力を高めるほどにうつ病などの精神疾患を患うリスクが低くなります。

 

また集中力を高めるとコミュニケーションも改善されます。集中力の低い人は相手の話しを聞くことが出来ません。聞いてるフリは出来ても中身が頭に入ってこないので、コミュニケーションが「ズレる」のです。コミュニケーション力をアップさせるには「傾聴」という技法を学ぶ前に集中力を高めるのが先決です。

 

こうやって見ると集中力は本当に人生のあらゆる場面に関係性が深いですね。ぜひとも集中力を高めてより良い人生を送って欲しいと思います。

あなたの集中力を低下させる要因。

現代社会には私たちの集中力を低下させる要因が溢れています。その一つが情報過多です。情報を受け取る量が多く、また受け取る情報の速度が速いと一つ一つの情報を処理することが難しくなります。次から次に私たちの脳内に情報が注ぎ込まれる状況は、一つのことに集中する能力を低下させ、意図しないマルチタスクがクセになる脳を造り上げます。

 

マルチタスクにはメリットもあるのですが、意図しないマルチタスクはマイナス面の方がはるかに大きいのです。意図しないマルチタスクとは意識や思考が拡散している状態。意図しないマルチタスク状態では目の前で何が起きているのか?を把握することが難しく、今目の前ですべきことのパフォーマンスは確実に低下するのです。

 

さらに意図しないマルチタスクは脳内にパターンとして刻み込まれます。なので自分が意図しないマルチタスク状態であることに気が付いていない人も多いはずです。

 

私たちを意図しないマルチタスク状態に強く導くのは、誰もが持っているスマホです。スマホの使用が集中力の低下や思考力の低下を招くという研究データが世界中で出始めていますが、それはスマホを常に使うことで意図しないマルチタスク状態に陥るからです。

 

スマホはもはや携帯電話や持ち運べるPCという領域を超えています。私たちの一部であり、なくてはならない存在です。多くの人にとって財布を失くすよりもスマホを失くす方がダメージが大きいのではないでしょうか?

 

スマホは常に私たちに何かを伝えます。友人や家族からの連絡だけでなく、ニュースやアプリの新しい情報、SNSに誰かが投稿したなど下手をすると常に通知音が鳴りっぱなし(バイブ)状態です。何か別のことをしていても、通知音が鳴るたびに意識は目の前ではなくスマホに向きます

 

そのたびに集中は途切れます。一度途切れた集中は戻すのに時間がかかります。集中が戻る前にまたスマホが鳴り、さらに集中は途切れます。この状態が日常的に続くと一つのことに集中する能力が圧倒的に低下し、慢性的な意図しないマルチタスク脳になります。

 

意図しないマルチタスク脳になった人は、通知音が鳴らなくても常にスマホが気になります。ニュースの更新や誰かからの連絡のことばかりが気になり(無意識)目の前の今すべきことに集中することが困難になるのです。

 

気付いたら知らない間にスマホを触っている人がいますが(スマホ依存)、ここまで来ると集中力はかなり低下した状態になっているはずです。授業中にスマホをつい触る人、ダメと知っていても歩きスマホをしてしまう人は相当症状が進んでいると考えられます。

 

最近、集中力が低下してきたと感じる人が増えているそうですが、スマホの普及やスマホに入っているアプリの充実が原因であることは間違いないでしょう。集中力低下の原因がスマホにあるならば、スマホを極力触らないようにすればいいのです。

 

これは言うのは簡単なのですが、スマホを触ることがクセ(重度の依存)になっている人にとってはかなりハードルが高いかもしれません。スマホに限らずクセを修正するのはかなりの労力と意思と時間が必要です。クセになっている人にとってスマホはただの機器ではなく自分の一部です。(意識上は)そんな人がスマホに極力触れないようにするのはなかなか難しいでしょう。

 

スマホ依存を克服する方法は、スマホを触らないようにすること以外にもう一つ方法があります。それは目の前の対象に意識を向ける訓練(マインドフルネス)をすることです。

 

マインドフルネスの実践や瞑想を続けた人は、スマホに触る時間が明らかに低下することがわかっています。(依存症にも効果があるから)目の前のことに対する集中力が高いと、スマホの通知音が鳴ってもそちらに気を取られなくなるのです。スマホ依存の人にはこちらの対処法が取り組みやすいかもしれません。

 

その他には単純ですが、通知音を鳴らないように設定したり家に居るときはスマホを見えない所に置いたり(スマホが見える位置にあるだけで意図しないマルチタスク状態になる)という方法があります。

 

歩きスマホだけは絶対にしないと誓うなど、スマホと距離を置く時間を少しづつ増やした方が良いでしょう。スマホに使われる人間になってはいけません。スマホと物理的にも心理的にも距離を置くことで、集中力は高くなる(戻ってくる)はずです。

集中力が低い人はうつ病のリスクが高い

集中力が低い人は、うつ病を始めとする精神疾患に罹るリスクが高いことがわかっています。集中力とうつ病にどういう関係があるのか?と不思議に思う人がいるかもしれませんが、集中力とうつ病の発症は大いに関係があります。

 

集中力が低い人は目の前のすべきことや事象に意識を向けるのが苦手です。気付いたら目の前のことではなく、自分の意思とは無関係に浮かぶ思考や感情に意識が向かっています。

 

自分の意思とは無関係に浮かぶ思考はたいてい「今この瞬間」のことではなく「過去」や「未来」のことです。しかもその多くがネガティブなことです。過去の失敗を思い出したり未来の心配事(不安)をしたり・・・これでは嫌な気持ちがどんどん膨らみ気分も沈んでいきます。怖いのは気付いたらこの状態に陥っていることです。自分の意思とは無関係なのです。

 

詳しくは→心が苦しくなる原因 脳の疲労を癒す方法

 

マインドフルネスの実践や瞑想が、うつ病などの精神疾患の改善や予防に効果があるのは継続するほど集中力が高くなるからです。集中力が高いと過去や未来ではなく「今この瞬間」へ意識を向ける時間が長くなります。それが結果的に、自分の意思とは無関係に浮かび思考やそれに伴う感情に振り回されなくなるのです。

 

うつ病が年々増えているのは現代が強いストレス社会であることだけでなく、集中力を低下させるスマホなどに触れる機会が増えたことも原因でしょう。

 

うつ病の人はそうでない人に比べて、スマホを触る時間が長いというデータもあります。(しかしこれは「スマホに触る時間が長いからうつ病になった」「うつ病だからスマホに触る時間が長い」のどちらも解釈が可能)

 

勉強や仕事で高いパフォーマンスを発揮するためだけでなく、自分を守るメンタルヘルスという観点からも集中力を高めるために、スマホ依存からの脱却を強くおススメします。

目の前のことに意識を向けること

集中力を高めたいと望む方全員にマインドフルネスの実践や瞑想に取り組んで欲しいと思っています。マインドフルネスの実践や瞑想は、心の落ち着きやメンタルの強化をもたらすだけでなく、集中力を圧倒的に高めてくれる効果もあるからです。

 

やり方ですが、まず静かで落ち着ける場所を見つけてください。自分の部屋でも自然の中でも公園でもカフェでもかまいません。椅子に座って猫背にならない程度に背筋を伸ばし、自分の呼吸に意識を向けましょう。鼻呼吸が望ましいです。

 

ゆっくり呼吸を行い、呼吸の出入りを身体で味わいます。それを数分続けましょう。その時に頭の中にいろいろな思考や言葉、イメージが自動的に浮かぶはずです。自動的に浮かぶ思考や言葉、イメージに客観的に眺めます。

 

「今自分の頭の中にはこんなイメージが浮かんでる」といった感じです。その次にすぐに呼吸の感覚に意識を戻しましょう。呼吸の感覚に意識を戻してもまた頭の中に様々なことが浮かんでくるかもしれません。浮かんだらまた呼吸に意識を戻します。これを繰り返すだけです。

 

頭の中だけでなく、自分の外側(音や人の気配など)に意識が引っ張られることもありますが、そんな自分の状態も「音に意識が向いている」と客観的に眺めて呼吸に意識を戻しましょう。

 

最初は難しいかもしれませんが、根気よく取り組むと集中力は確実にアップします。それに伴いIQアップやスマホを触る回数の減少など、様々な変化が実感として感じることが出来るはずです。

 

その応用として日常生活の中でも、目の前で起きていることに意識を向けるようにしてください。自分の呼吸を味わうのと同じく目の前の事象を味わうのです。私たちは日常の中で目の前の事象を観ることも感じることも疎かにしています。

 

何かに追い立てられて、焦りや不安、思考や感情に囚われて目の前のことなど意識していません。視界の片隅には映ってはいますが、はっきりと観ることはありません。頭の中で作り上げたイメージや自分勝手な解釈の元で現実(目の前)を歪めて観ているのです。

 

そんな状態ではいつまでたっても集中力は上がらないし(仕事や勉強などあらゆるパフォーマンスも上がらない)、精神疾患を患うリスクも高いまま。思考や感情に振り回されずに一度立ち止まって目の前をしっかりと見て、耳を澄ませてください。それを一日のうちに何回か意識するだけでもかなり違います。

 

出来れば一日の大半をそのように過ごすことが理想です。ぜひチャレンジしてみてください。いい意味でショックを受けますよ。自分が思っていた現実と違うことに気付くので。人生が一変しますよ。

最後に

集中力を高めることは非常に重要なのですが、それと同じくらい重要なことがあります。それは「そもそもその対象が集中するべきことに値するのか?」と考えることです。

 

私たちの集中力を低下させる原因は、スマホ依存や意図しないマルチタスク脳になっていることだけでなく「対象に興味がない」ことも考えられます。

 

仕事や勉強でも興味がなければ、集中力が高い人でも集中することは出来ません。興味がないということは今の自分にとっては重要性が低いということです。そんなものに頑張って無理やり集中する価値があるのでしょうか?

 

もちろん今は興味がなくても、将来的に必要となるので集中して取り組んだ方が良いという考え方もあります。しかし今興味がないことは将来も興味がないことも多々あるので、一概にどちらが良いとか悪いは言えません。

 

そういった事も含めて考えて欲しいのです。これは非常に大事なことだと思います。自分の人生を向き合うということですから。

集中力を高めるマインドフルネス瞑想