マインドフルネスの歴史

 

このページではマインドフルネスの歴史を簡単にお伝えしていきます。

 

 

マインドフルネスの歴史を詳細に伝えようとすると、仏教の歴史にも言及しなければいけません。

 

 

しかしこのホームページは仏教の解説サイトではありません。仏教の歴史を知りたい方は、専門書やサイトなどに当たってみてください。  

 

 

 

常にマインドフルネスで過ごす

 

マインドフルネス(mindfulness)という言葉は、パーリ語(南伝上座部仏教の経典で使用される言語)の仏教用語であるサティの英訳と言われています。

 

 

サティは特定の物事を常に心に留めておくという意味です。

 

 

日本には「念」や「気づき」という意味で伝わっています。サティは仏教において非常に重要な要素と言われています。

 

 

近年の西洋におけるマインドフルネスの流行は、1965年にアメリカで移民国籍法が成立し、アジアからの移民が増加したことが背景にあります。

 

 

この時に多くのアメリカ人が東洋の思想や文化に触れる機会が増えたのでしょう。

 

 

そこに拍車をかけたのが上座部仏教の僧侶であったニャナポニカ・テラ師、ベトナム人の禅僧ティクナット・ハン師です。

 

 

彼らはマインドフルネスは仏教の中心であると説き、英語でマインドフルネスに関する著作を多く書きました。

 

 

ティクナット・ハン師は「常にマインドフルネスでいなさい」とアメリカだけでなく、世界中にマインドフルネスを伝えました。

 

 

 

 

ティク・ナット・ハン師は2022年1月23日に他界されました。その功績は計り知れません。ご冥福をお祈り申し上げます。

 

 

 

 

 

 

医療にも導入

 

医療としてのマインドフルネスをスタートさせたのは、禅(曹洞宗)を学んだ分子生物学者のジョン・カバット・ジン氏です。

 

 

1979年にマサチューセッツ大学にマインドフルネスセンターを立ち上げ、慢性疼痛患者を対象としたマインドフルネスストレス低減法(MBSR)を始めました。

 

 

MBSRは簡単に言えば、仏教色を取り除き、現代人向けにアレンジした瞑想プログラムです。精神疾患から慢性的な身体疾患まで、幅広く効果が期待できるとされています。

 

 

MBSRは当初はさほど注目されず、行動療法の一環として普及していきました。MBSRが広がりを見せたきっかけは、1990年代以降における脳科学の発展です。

 

 

マインドフルネスの瞑想や実践が脳を造り変えて、心身に大きな影響を与えることがわかったのです。

 

 

それがアメリカでの東洋思想への興味が高まった時期と重なったこともあったのでしょう。マインドフルネスの瞑想や実践、考え方や方法論などが改めて注目されるようになったのです。

 

 

そしてマインドフルネスは医療だけでなく、教育や福祉、ビジネスやスポーツにも取り入れられるようになりました。

 

 

MBSRやそれに類似したプログラムは、アメリカだけでなくヨーロッパの国々でも学校や刑務所、病院などに広く採用されています。

 

 

ビジネスでいち早く取り入れたのがGoogleやゴールドマン・サックスを始めとする多くの世界的企業です。

 

 

マインドフルネスがメンタルヘルスだけではなく、ビジネスにおける生産性の向上(IQアップなど)に有効というのがその理由です。

 

 

ティクナットハン師やカバットジン氏を講師として招き、社内プログラムに導入していったのです。

 

 

 

日本ではどうか?

 

日本にマインドフルネスという言葉が入ってきたのは1990年代です。聞くところによると1993年に開催されたワークショップは、ほとんど関心を集めなかったそうです。

 

 

転機が訪れたのは2016年。この年にNHKや民放で、マインドフルネスがストレスの対処法として効果があると何度も放送されたのです。

 

 

それ以降、マインドフルネスに関連するたくさんの書籍が発行され、メディアでも取り上げられる機会が増加しました。

 

 

同時期にiPhoneのヘルスケアアプリに「マインドフルネス」のカテゴリーが追加されるなど、多くの日本人がマインドフルネスという言葉に触れることになります。

 

 

それに伴ってマインドフルネスのビジネス化も急速に進み、マインドフルネスの名称を利用した怪しいセミナーや講座も出回ることになります。

 

 

マインドフルネスを用いた商標登録の数も何倍にも増えました。

 

 

一方でマインドフルネスに嫌悪感を覚える人もいます。その理由は、90年代に「オウム真理教」が引き起こした無差別テロ事件です。

 

 

オウム真理教は「瞑想」や「ヨガ」を用いて信者を集めたり、洗脳を行っていました。そのため今でも「瞑想」という言葉に拒否感を露わにする人も少なくないのです。

 

 

それだけあの事件が衝撃的だったのでしょう。まだまだ多くの人の記憶に刻み込まれています。

 

 

マインドフルネスや瞑想が日本でいまいち流行らないのも、この事件があったことが大きいのではないでしょうか

 

 

 

もうマインドフルネスは下火?

 

2024年2月1日現在、マインドフルネスが大きく取り上げられた2016年に比べて、その勢いや熱量は下火になっている感があります。

 

 

Amazonなどで検索するとわかりますが、マインドフルネス関連の書籍の発行ペースは明らかに鈍っています。テレビなどの大手メディアで取り上げられる機会もほぼありません。

 

 

ネットで検索する限りの情報では、東京や大阪で開催される講座やセミナーもかなり少なくなっています。実際に大阪マインドフルネス研究所への問い合わせも減少傾向にあります。

 

 

これは熱しやすく冷めやすく、流行に左右されやすい日本人の特性が原因なのでしょうか?

 

 

しかしマインドフルネスの実践に流行は関係ありません!!

 

 

マインドフルネスは私たちの心と身体のため、人生のために行うものです。特に先行きの見えないVUCAの時代において、マインドフルネスの重要度はとても高いはずです。

 

 

それに気づいている人は、マインドフルネスを真摯に学び実践しています。

 

 

大阪マインドフルネス研究所では、多くの人にマインドフルネスを実践してもらえるよう、これからもマインドフルネスを伝え啓蒙していこうという気持ちがさらに強く思っています。

 

 

実は日本では文化や価値観の中に、マインドフルネスの考え方や実践があらゆる所に取り込まれています。マインドフルネスという言葉や実践方法を知らなくても、すでに私たちはマインドフルネスに触れているのです。