「マインドフルネスは脳を発達させて能力を高めること」と捉えている人が少なくないようです。それは一部正しいのですが、マインドフルネスの本質や目的ではありません。
マインドフルネスの本質とは、自分と向き合い、自分を知り、囚われを外し、感性や知性を高め、精神性や人格を成長させることです!!
「能力を高める」「一時的なリラクゼーション」「嫌な気持ちからの現実逃避」が目的ではありません。それらはおまけみたいなものです。
しかし残念なことにマインドフルネスをそのようなリラックス法やエクササイズとして捉え、誤解している人が多く見受けられます。
脳を発達させて能力が上がっても、その能力を私利私欲の為だけに使われても多くの人が困るわけです。能力を上げると同時に必要なのが、精神性や人格の成長です。
一時的なリラクゼーションや嫌な気持ちからの逃避が目的ならばマインドフルネスに取り組む必要はありません。
マインドフルネスよりも簡単で、お金も時間もかからない方法が他にいくらでもあります。
と言うより、それらを目的にマインドフルネスの瞑想や実践に取り組んでも、望むような効果を得ることは出来ないでしょう。
マインドフルネスの実践や瞑想の途中で頭がぼ~っとして心地良くなる人がいます。頭の中が空っぽになりフワフワした感じです。寝る寸前の意識状態に似ているかもしれません。
これはマインドフルネスの実践としては間違いです。
マインドフルネスの実践は「今この瞬間」に起きていることに囚われずに気づくことです。ぼ~っとして心地の良い状態は、囚われているだけです。
この状態を「無」と呼ぶ人がいますが、これは「無」ではありません。
たしかにぼ~っとした状態は雑念もなく「無」になったような感覚になります。しかしこれは意識が何か囚われているだけ。
囚われた時、頭の中は「無」ではなく思いっきり雑念まみれです。
この状態を「正しいマインドフルネス」「深い瞑想状態」と言い、指導している人もいますが、完全に間違いです。そのような指導者から瞑想を学ぶのは今すぐ辞めましょう。
たしかにぼ~っとして心地良い状態にはリラクゼーション効果があります。嫌な気持ちから逃避することも出来るでしょう。
それ自体を否定をするつもりはありませんが、マインドフルネスとは全然違うということを理解してください。
マインドフルネスの実践や瞑想中に光が見えたり、声が聞こえたり、そこにないものが見えたり、通常では起こりえない体験をすることがあります。
これは変性意識が深くなった状態です。変性意識が深くなるほど「神秘体験」をします。正しい瞑想は私たちを変性意識に導きます。⇒変性意識入門コースはこちら
この状態を「悟った」「神様(バシャール)からメッセージがきた(降りた)」と捉える人がいますが、それは間違いです。
瞑想を続けると脳内にドーパミンやベータエンドルフィンといった物質が大量に分泌されます。その分泌量が臨界点を超えると幻覚や幻聴を体験するのです。
「神秘体験」のメカニズムは脳科学の世界ではとっくに解明されています。「神秘体験」は大量の脳内伝達物質による脳の悪戯の結果なのです。
マインドフルネスの実践や瞑想が深まると「神秘体験」が起きること、それが起きる理由は「脳内麻薬が大量に分泌されるから」
と言うことをしっかりと理解してください。
これがわからないと「神秘体験」の結果、考え方や思想が偏ったものになることがあります。
「神秘体験」は強烈でしかも実際に身体で体験していますから、人によってはこれまでの価値観が一変するかもしれません。
しかしこれは特別な事ではなく、瞑想が上手くなれば、瞑想が深まれば、誰にでも起こる脳の悪戯ということをしっかり頭に叩き込んでおいてください。
マインドフルネスの実践や瞑想は目を閉じて何も考えないではありません。「今この瞬間」に何が起きているのか?に囚われずに「気づく」ことです。
そのために、まずは対象を決めます。呼吸や自分の身体、音や味など対象をしてその対象に意識を向け続けます。
そして対象から意識が外れたらすぐに対象に意識を戻す。ということを繰り返すのです。この時、自動的に浮かぶ思考やそれに付随する感情や気分を観察します。
これがマインドフルネスの実践や瞑想の基本的なやり方になります。
言葉で説明すると簡単に感じるかもしれませんが、いざ実践するとなると難しい実践です。
初めて取り組む方の大半は、自分の意識がどこに向いていたか?自分の中で何が生じていたか?に気づくことが出来ません。
多くの人は意識が対象以外に飛んだままで終わります。
それは当たり前で最初から上手く出来るはずはありません。何事も最初はそんなものです。
繰り返し実践することで「今この瞬間」の気づきが体感を持って理解することが出来ます。
対象に意識を向けるという行為は、対象に意識を向けようと「考える」のではありません。
「対象に意識を向ける」と「対象に意識を向けようと考える」は言葉は似ていますがその中身は180度違います。
例えば、痛みや痒みが生じたときは自然にその部位に意識が向くはずです。
痛みや痒みに意識を向けようと考える前に意識がそこに向いているでしょう?それと同じように瞑想中は対象に意識を向けるのです。
この辺りの意識操作は繰り返し訓練しないと出来るようにはなりません。まれに最初から難なく出来る人もいますが8割以上の人は無理です。
まずは「対象に意識を向ける」と「対象に意識を向けようと考える」の違いをしっかりと理解してください。
「対象に意識を向ける」→「意識が対象から反れる」→「反れた意識を対象に戻す」を繰り返すことで脳のあらゆる部位が厚みを増し発達します!!
この作業はなかなか大変で慣れないうちはエネルギーを使いますが、脳を発達させるために必要不可欠です。
「対象に意識を向ける」と「反れた意識を対象に戻す」がマインドフルネスの実践や瞑想の基本となります。
これが出来ないといつまで立っても脳の変化は起こらないし、瞑想も上達しません。当然、心と身体の変化も起こりません。
「対象に意識を向ける」「反れた意識を対象に戻す」を体現するためには、身体感覚を高めることが有効です。
身体感覚とは意識した身体の部位を正確に知覚する能力のことです。身体感覚が高まるほど、マインドフルネスの実践や瞑想が上手になります。
当研究所が提供するマインドフルネスのパーソナルトレーニングやセミナーでも身体感覚を高める訓練を行います。
しかし初心者の方はなかなか上手くいきません。多くの人は自分の身体に意識を向けるということをしてこなかったのでコツが上手くつかめないのです。
マインドフルネスに取り組む上で初心者の方が最初にぶつかる壁でもあります。ここを突破すればある程度の所まではスイスイと上達します。
人によっては数週間立っても壁にぶつかったままという場合もあるので、一筋縄ではいかないものです。
ネットや書籍の情報を元に独学で取り組む人がこの壁を突破するのは無理です。そもそもネットや書籍に身体感覚の重要性といった情報はありません。
なぜかネットや書籍には重要な情報が抜け落ちているのです。知らないのか?意図的なのか?はわかりませんが独学では危険性もあるので取り組むのはおススメしません。