マインドフル・コミュニケーション

 

マインドフルネスの効果は「メンタルヘルス」「IQアップ」「身体機能向上」だけではありません。

 

 

人間関係が良好になったり、コミュニケーション力がアップするということが起こります。

 

 

マインドフルネスとコミュニケーションがどう関係するのか?と疑問に思う人がいるかもしれませんが、関係は大ありです。

 

 

コミュニケーションの基本は相手の話しを「聴く」ことにあります。「聴く」というのは一般的に考えられているよりも簡単ではありません。

 

 

「傾聴」という「聴く」ための技法がありますが身に付けるためには訓練が必要です。誰もが出来るものではありません。

 

 

しかし「傾聴」の訓練を受けたからといって「聴く」ことが出来るかどうかは微妙です。

 

 

心理士の養成プログラムや講座などで行われている「傾聴」という技法は、テクニックに偏り過ぎているという問題があります。

 

 

「聴く時の姿勢」や「聴き方」ばかりをトレーニングし、聴く時の精神状態や意識に注意を払うことがあまり重要視されていません。

 

 

テクニックに偏った傾聴を学んでも、「聴いているフリ」が上手くなるだけで本当の意味で相手の話しを聞くことは出来ないのです。

 

 

 

聴こうとしてはダメ

 

目の前の人の話しを聞くときに必要なのは「聴こう」という意識ではありません。「聴く」という実際です。

 

 

傾聴を学んでいる人に多いのは「聴こう」という意識が強すぎることです。これは「聴こう」という囚われです。囚われが強いほど相手に違和感を与えます。

 

 

コミュニケーションが上手くいかない大きな理由はこの違和感にあります。

 

 

囚われを手放すことが出来ないまま傾聴の訓練を行うと、聴くことやコミュニケーションが下手になる可能性があるということです。

 

 

マインドフル・コミュニケーションはそこをクリアにするためのトレーニングです。

 

 

 

「今この瞬間」が大事

 

本当の意味での傾聴を実現させるためには「今この瞬間」の「気づき」や「否定せずありのまま」にという意識が必要です。

 

 

つまりマインドフルで居ることです。

 

 

多くの場合、相手の話しを聞きながら無意識に別のことを考えています。

 

 

「次に何を話そうか?」「いつまでこの話しは続くのか?」「相手は自分のことをどう思っているのか?」「ちゃんと話しを聞かなければ」などが頭に浮かんでいるのではないでしょうか?

 

 

「どうやってマウントを取ろうか?」など、相手をコントロールするタイミングなどを伺いながら、聞いている人もいます。

 

 

これは全て囚われた状態であり、目の前の人に意識が向いていない状態です。

 

 

この状態で傾聴は無理です。傾聴を実現させるためには「今この瞬間」に意識を向けることなのです。

 

 

これはイメージや概念ではありませんし、体現することが出来なければ理屈をわかっても意味はありません。

 

 

そのために必要なのは基本的なマインドフルネスのトレーニングです。

 

 

ある程度、マインドフルネスの基本が身に付いたら、マインドフルネスの応用であるマインドフル・コミュニケーションの訓練をしていきます。

 

 

その場にマインドフルで居ることが出来れば、「聴こう」という意識がなくても自然に相手の話しを聴く状態になります。

 

 

この状態になると相手はあなたに安心感を覚え、警戒なく話しをしてくれるようになるはずです。

 

 

これが本当の傾聴です。

 

 

「頷く」とか「姿勢」がどうとか「聴く心構え」とか「何を話すか」はどうでも良いのです。

 

 

傾聴力を高めたいのであればそんなテクニックではなく、マインドフルネスのトレーニングをすることです。

 

 

特に心理士やカウンセラー、医者や看護師には絶対に必要なことでしょう。

 

 

それによって同じことをしても治療効果や患者の状態が大きく変わるからです。

 

 

 

嫌われる人の特徴

 

私たちは話しをきちんと聴いてくれる人を好きになる傾向にあります。話しを聴いてもらうということは自分の存在を認められるということです。

 

 

人の話しを聴くよりも自分のことを話したい人が圧倒的に多いのは、話すことで承認欲求が満たされるからです。

 

 

つまり相手に好かれるためには徹底的に話しを聴いてあげて、承認欲求を満たしてあげれば良いのです。

 

 

余計なことは言わずマインドフルにただ話しを聴くこと。それが相手に好かれる奥義です。

 

 

しかし先ほどからお伝えしているように、相手の話しを聴くのは非常に難しい行為です。わかっていてもなかなか出来ません。

 

 

多くの場合、コミュニケーション時に自分の頭の中に生じる思考や、相手の言動や表情によって生じた感情に囚われてしまうからです。

 

 

ここを突破するにはマインドフルネスのトレーニングを続けるしかありません。

 

 

話しを聴く能力は勉強して覚えるものではなく、訓練して身体で覚えるものです。地道に取り組むしか方法はないのです。

 

 

嫌われる人は、自分が話すことに夢中になっていたり、話しを聴こうという意識が強すぎたり、テクニックを使おうとしていたり・・・

 

 

これらは全て相手にバレています。相手に違和感としてなんとなく伝わるのです。

 

 

 

モテない男性

 

例えば、男性の下心は女性からは丸見えです。男性の「こうしたい」という欲望(囚われ)が表情や所作、発する雰囲気が女性に違和感として伝わるのです。

 

 

それをキャッチした女性は「この人なんか嫌だな」「下心が見え見え」と認識し、そんな男性とは距離を取ります。

 

 

モテない男性ほどその傾向にあります。もちろん本人は無意識ですが・・・

 

 

営業マンが顧客やクライアントに対する下心(どうやって買わせるか)も全てバレます。

 

 

どれだけ言葉で良いことを言っても、見た目を良く繕っても欲望(お金儲けたい、売りたい)や思考(どうやって売ってやろうか)は感覚で伝わります。

 

 

鈍感な人は騙せても、感覚が正常に働いている人にはバレます。バレるだけでなく間違いなく嫌われます。

 

 

そういった営業マンは話しをしなくても顔を見るだけでわかります。

 

 

見た瞬間に「嫌な感覚」が身体に生じるからです。感覚が鋭い人なら簡単に見分けることが出来ます。

 

 

嫌われないためには見た目を繕うのではなく、「今この瞬間」に意識を向けて囚われを手放すことです。

 

 

犬や猫と一緒に居るだけで癒されたりするでしょう?それは犬や猫は「今この瞬間」にしか意識がないからです。

 

 

もちろん犬や猫にも「食べたい」「寝たい」「遊びたい」という欲望はありますが、人間の汚い欲ほどは強くないので違和感にはなりません。

 

 

好かれるためには(嫌われないため)「今この瞬間」に意識を向けること、その状態で相手の話しを聴くことです。

 

 

自分の欲望や下心をコントロール(小さくする)して相手と向き合ってください。

 

 

そうすると相手に与える印象は柔らかいものになり、安心感や信頼感を与えることが出来ます。

 

 

好かれよう、嫌われないようにしようという考えも失くしてください。

 

 

とにかく「今この瞬間」に意識を向けることをしましょう。コミュニケーションのテクニックは必要ありません。