数年前、当研究所でマインドフルネスの個人レッスンを受けていた60代のご婦人が「人生の中で今が一番記憶力がいい」と興奮して私にお話してくれました。
記憶力が良くなっただけでなく、頭の回転も速くなりマインドフルネスに取り組む前と比べて、人の話しもよく聴けるようになったそうです。
一昔前は「年を重ねると脳の機能は低下する」「脳力(IQ)は20代がピーク」と言われていました。
しかし今ではそれが間違いということがわかっています。
脳は身体と違って成長がゆっくりです。
「脳のピークは60代」とある海外の脳科学者は断言します。
もちろん脳力(IQ)にも様々あり20代でピークを迎える脳力もあれば、歳を重ねるほど高まる脳力もあるそうです。
結論としては「脳全体で考えると年齢はあまり関係ない」というのが科学界の見方です。
ではなぜ多くの人は年を重ねるほどに脳力(IQ)が低下すると感じるのでしょうか?
答えは簡単です。
「歳を重ねるほどに脳を使う頻度が低下する」からです。
事故などで1か月ほど入院し、足をまったく動かせずに寝たきりになると、ありえないくらい足の筋肉量が減少します。
宇宙飛行士も同様です。宇宙空間では筋肉への負荷がないので、たった数週間の滞在でも自力で歩けないくらい筋肉が弱くなるのです。
このように私たちの身体は使わなければ委縮していきます。
使わない部位は脳が「必要ない」と判断し退化させるのです。
その理由は無駄なエネルギーを使わないようにするためです。
筋肉だけでなく脳も使わなければ同じように委縮していきます。
脳が委縮すると思考力や記憶力、集中力など様々な脳力が低下します。
多くの人は若い時よりも脳を使うことがないので確実に脳が委縮しているはずです。
ここで反論がある人もいるでしょう。
「仕事で常に頭を使っているのに、脳を使っていないなんてありえるのか?」と。
実は私たちは仕事で頭(脳力)を使っているように思っているだけで、ほとんど使っていません。
なぜなら同じような仕事を続けていると、脳は働かなくなるのです。
それまで経験したことがないようなまったく新しい仕事では、最初はかなり脳を使います。
仕事を覚え、ある程度こなすことが出来るようになるまでは脳は発達していき、ネットワークも活発になります。
しかしある時点で脳の活性化が弱まります。それが慣れです。
慣れが生じると脳はエネルギーを節約しようと省エネモードになります。
このような状態で何年も過ごしていると脳は少しづつ委縮していきます。
反対にクリエイティブな仕事や臨機応変を求められる仕事に従事している人の脳は、委縮しない(委縮するスピードが遅い)ことがわかっています。
五感を強く刺激するような仕事に就いている人の脳も委縮しにくいそうです。
高齢者の方が恋愛をすると、頭の回転が速くなり思考力や記憶力もアップしたという話しを聞いたことはないでしょうか?
恋愛というのは脳にとってかなりの刺激です。
「あの人と仲良くなりたい」「仲良くなるためにはどうすればいいのか?」と脳がフル活動し、脳が委縮している人でも脳力(IQ)が復活するのです。
恋愛以外でも新しい刺激や五感への刺激も脳力を高める(復活する)ことが出来ます。
高齢者の方が若い人と接する機会が多くなると、脳が活発になるのは若い人の価値観や考え方などが新しい刺激となり脳を活性化させるからです。
新しい刺激は脳にとってかなり重要です。
新しい刺激をどんどん与えてやれば思考力も記憶力も衰えることはありません。
マインドフルネスの瞑想や実践も脳への刺激としてかなり効果があります!!
最初に紹介した60代のご婦人の脳力がアップしたのは、マインドフルネスの実践や瞑想に取り組んだからでした。
マインドフルネスの実践や瞑想では、五感で感じていること(気づき)を意識に上げる(知覚する)ことを繰り返します。
この作業は脳をかなり刺激するのです。
「気づき」を意識に上げることを常に行っていると、「気づき」の範囲が広く深くなります。
それがまた新しい刺激となり、脳はさらに活性化するのです。
実際にマインドフルネスの継続は、脳のあらゆる部位の発達を促すことが確認されています。
マインドフルネスが認知症の予防に効果があるのでは?という報告がありますが、マインドフルネスが脳の萎縮を防ぎ発達を促すからでしょう。
マインドフルネスの個人レッスンをおススメします。