日経サイエンス2015年1月号では、繊維筋痛症や慢性疼痛に対するマインドフルネスの効果についての記事が紹介されています。
~以下記事より一部抜粋~
マインドフルネスストレス低減法のプログラムを作ったカバットジンが1985年に90人の慢性疼痛患者に行ったマインドフルネス8週間プログラムを行いました。
結果、痛みやネガティブな感情、不安は15か月にわたって軽減しました。対して神経ブロックや理学療法、抗うつ薬を投与された患者には有益な効果は見られなかったそうです。
~抜粋終わり~
こういった記事もあります。
こちらも参考にしてみてください。
厚生労働省が編集・制作している「慢性痛患者のためのセルフケアガイドブック」の10ページにマインドフルネスのことが書かれてあります。
~以下一部抜粋~
②考え方(認知行動療法、瞑想、マインドフルネス)
概要
ものの受け取り方や考え方を変えることや行動をコントロールすることで、気持ちを楽に したり、ストレスに対応できるこころの状態を作ります。
また、マインドフルネスによる呼吸は、呼吸を意識することで心身の安定化と調整を目的とし、瞑想はヨガなどの思想を基本として心の乱れを鎮めます。
論文の結果
自分の考えを再構築したり、問題解決のための方法を学ぶことで、痛みやうつなどの気分 に効果的だったとする報告が多く、瞑想に関してはマインドフルネス法が用いられ、うつな どに効果的であるとの報告があります。
なお、考え方単独よりも総合的プログラムとして運 動など組み合わせて行われている報告もあり、高い効果を示しています。
注意点
深刻な有害事象は報告されていませんが、まれに気分が悪くなるなどの精神的な変化が 認められることがあります。
③ヨガ
概要
姿勢や呼吸法を重視するものや瞑想による精神統一を重視したものなど様々な方法が 行われています。一般的には独自のポーズ、呼吸法、瞑想などにより心身のバランスを整え ることを目的としています。
論文の結果
姿勢・瞑想・呼吸法を週1回、60~120分行うことで、痛みが改善したとの報告があります。 また、マインドフルネスの一部に含まれるヨガは教育と組み合わせることで、痛み・QOL・睡 眠状態の改善が認められたとの報告があります。
注意点
深刻な有害事象は報告されていませんが、まれに痛みの増悪が認められることが あります。
~抜粋終了~
マインドフルネスの瞑想や実践が、線維筋痛症や慢性疼痛の患者の助けになることは私自身の指導経験や様々な研究からも間違いありません。
薬と同程度かそれ以上の効果が期待できます。
ここでは、マインドフルネスの実践や瞑想の具体的なやり方を紹介します。
書かれてあるとおりに実践してみてください。
まず静かで落ち着ける場所を見つけてください。自分の部屋でも自然の中でも公園でもカフェでもかまいません。
椅子に座って猫背にならない程度に背筋を伸ばし、自分の呼吸に意識を向けましょう。
鼻呼吸が望ましいです。
ゆっくり呼吸を行い、呼吸の出入りを身体で味わいます。それを数分続けましょう。
その時に頭の中にいろいろな思考や言葉、イメージが自動的に浮かぶはずです。
自動的に浮かぶ思考や言葉、イメージに客観的に眺めます。
「今自分の頭の中にはこんなイメージが浮かんでる」といった感じです。
その次にすぐに呼吸の感覚に意識を戻しましょう。
呼吸の感覚に意識を戻してもまた頭の中に様々なことが浮かんでくるかもしれません。
浮かんだらまた呼吸に意識を戻します。これを繰り返すだけです。
頭の中だけでなく、自分の外側(音や人の気配など)に意識が引っ張られることもありますが、そんな自分の状態も「音に意識が向いている」と客観的に眺めて呼吸に意識を戻しましょう。
より効果的に実践したいと望む方にはマインドフルネスの個人レッスン、セミナーや講座への参加をおススメします。
一般的に、線維筋痛症に対する補完療法に関する研究は、予備的なものです。しかし、一部のアプローチについては有望なエビデンス(科学的証拠)があります。
1つの可能性のある例外を除いて、いかなるダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)も線維筋痛症の痛みを和らげるというにはエビデンスは不十分です。その例外として考えられるのは、ビタミンDのサプリメントで、ビタミンDが欠乏している線維筋痛症患者の痛みを軽減する可能性があります。
太極拳などの瞑想運動療法は、線維筋痛症の一部の症状をいくらか緩和する可能性があります。いくつかのランダム化比較試験で有望な結果が得られています。
マッサージが有用であるというエビデンスは限られています。マッサージ療法や筋膜リリースと呼ばれる結合組織(筋膜)をターゲットにした手技療法の一種は、線維筋痛症の症状をわずかに改善する可能性があります。
マインドフルネス瞑想は、線維筋痛症の人の痛みや生活の質を短期的に改善する可能性があります。しかし、少数の研究しか行われておらず、その質も低いものです。
バイオフィードバック(行動療法)は、線維筋痛症患者の身体機能、痛み、気分に有用な可能性があります。しかし、エビデンスの質は低いものです。
太極拳、マインドフルネス、マッサージ、バイオフィードバックなどの心理的・身体的アプローチは、訓練を受けた専門家が適切に行うか、十分な資格を持ったインストラクターが指導すれば、一般的に安全性が高いと考えられます。
あなたの医学的状態(既往症、併存疾患等)が療法の安全性に影響を与える可能性があります。個々のニーズについては、今かかっている医療機関※や施術者・インストラクターと相談してください。