断食(ファスティング)は、何千年も前から世界中で行われてきた伝統的な健康法の一つである。
近年では、「神に近づく」といった宗教的・精神的な修行としての側面だけでなく、健康維持や、ビジネス・スポーツにおけるパフォーマンス向上を目的として実践する人が増えている。
かつては「食べないと体に悪い」という認識が一般的だったが、飽食の時代と言われる現代においては、「あえて食べない時間を作ることが体に良い」という認識も広がりつつある。
しかし、断食にはメリットだけでなく、間違った方法で行うと逆効果になるデメリットも存在する。
断食には、目的やライフスタイルに合わせて様々な方法がある。
半日断食(プチ断食): 12時間〜16時間程度、食事の間隔を空ける方法
1日断食: 丸一日、固形物を摂取しない方法
長期断食: 数日間〜1週間、水分や酵素ドリンクのみで過ごす方法(※専門家の指導が必要)
私(大阪マインドフルネス研究所 西山)が毎日、行っているのが半日断食で、朝ご飯を抜いている。
実践歴はもう20年ほど。断食の効果が世間で広がる前から行っている。
中でも現在、多くの人が取り組んでいるのが、12時間〜16時間の空腹時間を作る「間欠的ファスティング(半日断食)」だ。
この方法が注目されるきっかけとなったのが、2016年に大隅良典栄誉教授が仕組みを解明し、ノーベル生理学・医学賞を受賞した「オートファジー」という機能。
オートファジーとは、細胞が自ら古くなったタンパク質を分解し、再利用(リサイクル)する仕組みのこと。
この機能は、最後に食事をしてから12時間〜16時間程度経過すると活発化すると言われている。(諸説あり)
空腹時間を作ることで、消化器官を休ませるだけでなく、細胞レベルでのリフレッシュ(デトックス)が期待できるとして、アンチエイジングや健康維持に関心が高い層から支持されている。
現代は、特に日本は、いつでも好きな物を食べられる環境が整っている。その結果、多くの人が「身体が求める以上」に食べてしまっているのが現状だ。
過剰な食事や、持続的なストレスによる過食は、以下のような問題を引き起こす可能性がある。
定期的に断食を行い、内臓を休ませることは、これらの負担を軽減し、本来の身体の機能を取り戻すために有効な手段と考えられている。
数日間の断食はハードルが高いが、オートファジーを活性化させる「半日断食(16時間断食)」であれば、誰でもすぐに実践可能だろう。
【やり方の例】
夜の19時に夕食を終える。
翌日の朝食を抜き、お昼の11時〜12時まで固形物を食べない。
これだけで、睡眠時間を含めて約16時間の空腹時間が作れる。これなら、朝の空腹を少し我慢するだけで済む。
今まで1日3食しっかり食べていた人は、最初の数日間は空腹感や、一時的なエネルギー不足(頭がぼーっとするなど)を感じるかもしれない。
しかし、これは身体が慣れるまでの過程だ。
3日〜1週間ほど続けると、逆に「食べない方が身体が軽い」「仕事や勉強の集中力が増した」と実感する方が多い。
まずは週末だけなど、無理のない範囲から始めてみてはどうだろう?
断食には多くのメリットが期待できる一方で、デメリットやリスクも理解しておく必要がある。
①リバウンドのリスク
食欲は人間の生存本能だ。無理に食事を制限すると、その反動で「過食」に走ってしまうことがある。
断食後にドカ食いをしてしまっては、胃腸への負担が増し、逆効果になりかねない。断食は「終えた後の食事(回復食)」まで含めて計画的に行う必要がある。
②ストレスホルモンと体調不良
断食の影響は個人差がある。特に1日以上の長期間の断食を行うと、身体が飢餓状態を察知し、コルチゾールなどのストレスホルモンの分泌が増えることが分かっている。
過度な断食によってストレスレベルが上がると、かえって体内の炎症反応を高めたり、肌荒れや体調不良を引き起こしたりする可能性がある。
これを「好転反応」と捉える人もいるが、身体からのSOSである可能性も否定できない。
断食は、現代人の乱れた食生活をリセットし、健康維持に役立つ強力なツールだ。しかし、断食は「万能薬」ではない。
大阪マインドフルネス研究所では、身体への過度な負担やリスクを考慮し、初心者の方や独学の方には1日以上の断食は、指導も推奨もしていない。
断食に興味をお持ちであれば、身体への負担が少なく、継続しやすい「半日断食」からチャレンジしてはどうだろう。
もし、数日以上の本格的な断食にチャレンジしたい場合は、独学で行わず、必ず経験豊富な専門家の指導の下で行うようにしてほしい。
持病をお持ちの方は、実践前に必ず主治医に相談を。